カレッジマネジメント210号
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54リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあるといえるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取り組み事例を積極的に紹介していきたい。今回は、学修成果の可視化に取り組み、今年度(2017年度)には実施を始めた山梨県立大学で、清水一彦学長にお話をうかがった。山梨県立大学は、県立女子短期大学と看護大学との統合により2005年4月に設立された。国際政策、人間福祉、看護の3学部に学生数は約1200人で、約8割が女子学生だ。2015年度に就スローガンはグローカル・実践・地域任した清水一彦学長は「ST比が1対11くらいと国立大学の平均的な比率で、恵まれた大学といえると思います」と言う。「スローガンは私が来たあと、『地域を愛し、地域を育てる大学』という柔らかいものにしています。キーワードは、グローカル・実践・地域の3つで、地方の大学の特徴を表しています」。県内出身者は学生の55%。県内就職率は、2015年には42%だったのが、2017年3月には49%と増えている。大学COC事業、COC+事業の成果だと清水学長は見ている。「入学生の声を聞くと、まず富士山・南アルプスという山の魅力、そして武田信玄という歴史の魅力があると。ありがたいことですね。2019年は開府500年、つまり甲府ができて500年ですし、2021年は武田信玄の生誕500年。山梨にとっては節目の年。2027年にはリニア中央新幹線開通の予定もあり、県民あげて地方創生に取り組んでいます」。清水学長が取り組む改革課題は「学びの質」と、公立大学の使命としての「働きの多様性」だという。第1に学びの質保証については、教師、学生、それを結ぶカリキュラムという3要素の力をつければ、質が保証されるというのが基本的な考え方だ。「教師力をつけるのはFD、カリキュラムの質を保証するのは授業評価、学生力は、学修成果の可視化なのです。この3つをどういうふうに大学のシステムとして構築するかが質保証システムの構築の鍵なのです」。学修成果の可視化の手順としては、3つのポリシー(アドミッション、カリキュラム、ディプロマ)の見直しから始めて、山梨県立大学における学士力とは何かを策定。次に、およそ1200の授業科目のそれぞれがどの学士力を目指すのかというカリキュラムマップを作成。そして、授業評価制度を一新。最終的には大学の教育力がスコアとして可視化される、いわば「大学の通信簿」を公表し、質を保証する狙いだ。1200の授業科目でカリキュラムマップ策定山梨県立大学学修成果を可視化し、地域貢献度の指標開発を目指して魅力ある大学づくり清水一彦 学長

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