カレッジマネジメント210号
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55リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018並行して、GPA、科目ナンバリング制度等のサブシステムも構築した。学士力については全学レベルを「学士基盤力」、学部レベルは「学士専門力」、学部横断的な教職課程は「学士教職力」と命名。全学共通の「学士基盤力」なら、6つある大学の教育目標を4年間で達成するためにどういう学修成果を身につけるべきかを掲げた。「学士専門力」も同様で、学部もしくは学科の目標から抽出する力を策定。全てのレベルにおいてこの作業をした結果、全学で42の学士力が策定された。これらは文科省が言う「学士力」と必ずしも一致はせず、山梨県立大学独自の教育目標から抽出した独自の学士力だ。「法の規則では、全学の教育目標は必ずしもなくていい。多くの大学が学部ごとです。あるいは学部にはあっても学科にはないとか。本学の場合も、全学、学部、学科と教育目的・目標を見直したら、埋まっていないのがいくつかあった」。それが42の学士力策定で埋まったわけだ。次にカリキュラムマップだが、全学なら横軸に6つの学士基盤力(全学共通)、縦軸に約70の全学共通科目が並び、それぞれの科目の行の、目指す学の評価が4点満点で可視化することができる(図表)。「特に本学のキーワードである、グローカル・実践・地域に関連した学士力の評点が高いことが望ましい(図表の赤字項目)。大学の目的の達成度が高いといえるからです。学部ごとの日常的な努力、組織の特性も出てきます。日常的に授業もカリキュラムもしっかり検討され、教え方も工夫されている学部は、どの学士専門力も平均して高い数値になる。もしばらつきがあるようなら、学部で議論して、設定した学士力の見直しなりカリキュラムの改善なり、考えなければいけない」。一般的に授業評価は、教員個人の評価になりがちなため、抵抗感を持つ教員も少なくない。しかし山梨県立大学の制度は学部学科、全学の学修成果を可視化することがあくまで主眼という。「そのために、教員ごとではなく学部・学科を中心に授業評価をもらうというふうにしてあるのです。もちろん個票も全部出ますから、担当する先生が授業改善をすることは可能ですが、それも個々の先生というより学部・学科の組織として取り組むという考え方で、授業評価結果の責任は学長が委員士基盤力の列に印のついたマトリックスとなっている。まずは担当教員が印をつけ、カリキュラム会議にかけて検討・調整を行った。学部・学科でも同じように作成するから、1200科目についてのマップができ上がる。「それによってシラバスも変わる。従来は授業科目の到達目標等が書いてあったところが、目標としての学士力で表されるようになりました」。このようなカリキュラムマップ、シラバスをもとに授業が行われたあとは、学生による授業評価だ。「従来は20項目ほどありましたが、今は4項目を4段階で評価するだけです。なかでも1番目の『カリキュラムマップで設定しているこの授業の学士力を身につけることができましたか』がメイン。学生はシラバスやガイダンスで、科目の目指すものを頭に入れて、学期ごとに授業評価するわけです」。それらをまとめると、全学共通、学部・学科、教職という42の学士力について、身につけることができたかの学生自身42の学士力を4点満点で可視化身についた学士力を可視化する取り組み(数字は全てダミー)学士力の順位(2017年前期)3.40学士基盤力(共通)3.40学士専門力(学部・学科)3.40学士専門力(教職)3.40国際政策学部3.40人間福祉学部3.40看護学部福祉コミュニティ学科人間形成学科3.50人間関係形成力3.60国際コミュニケーション専門力3.40実践力・問題決力3.50社会貢献力3.50援助関係形成力3.80自己学修力3.40実践力・問題解決力3.50国際コミュニケーション基礎力3.40人間関係形成力3.50専門知識理解3.50看護実践力3.60教職実践力3.40想像力・表現力3.50地域マネジメント専門力3.40地域貢献力3.40研究力3.40思考力・判断力3.50教職知識理解3.407自己学修力3.30外国語活用能力3.30態度・志向性3.40自己学修力3.40教養を高める力- 社会貢献力3.30自然・社会・文化理解3.30国際政策教養力3.30知識理解力3.30人間関係形成力3.40自己学修力3.30地域・国際コミットメント力3.20国際ビジネス・観光専門力3.20思考・技能3.30技能活用力3.40探究する力3.20地域マネジメント基礎力3.20共感的理解力3.30創造的表現力3.40連携し協働する力3.20国際ビジネス・観光基礎力3.30変革を志向する力- 能動的実践力- 専門的問題解決能力3.40数字は全てダミー※赤字は、本学のキーワード「グローカル」「実践」「地域」に関連した項目

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