カレッジマネジメント210号
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56リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018長を務める全学のFD・SD委員会においています」。このような取り組みは、様々な場面において、学修成果の可視化が問われる中で、十分に多くの大学の参考になり得る事例といえるだろう。2つ目の課題である「働きの多様性」を目指すにあたっては、清水学長は3つの取り組みを主な事例としてあげた。「1つは大学COC。地域人材育成科目というのを設置し、これを増やしていこうというのが一つの事業内容になっています」。COC初年度の2013年度は、全学の開設率が23%、担当教員割合が40%だったが、3年後の2016年度には、開設率33%、担当教員割合56%と増えている。「データ的に増えているだけでなく、学生の評価も高い。地方の大学には、学問体系で並べる学術的なカリキュラムだけでなく、地域人材育成というミッションに合わせて地域ニーズに合ったカリキュラムが必要です。先生方の意識もそのように変わっていると思います」。2つ目の事例は、山梨経済同友会との連携教育講座の開設だ。「要するに経済同友会の企業の人達に、授業を任せようと。2016年10月の協定書では、大学は報酬を負担しない代わり、客員教授や准教授の称号を授与する、としています」。2017年度、既存の科目「インターンシップ」全14回のうち5回を、企業経営者、日銀の支店長をはじめ経済同友会のメンバー10人が担当する形でスタートした。山梨のニーズに合ったカリキュラム「山梨経済同友会との連携ではもう1つ、山梨県民のための公開講座として、県の生涯学習推進センターも加わって『山梨学講座』を作りました」。学生向けの「インターンシップ」科目は「山梨創生学」と位置づけられており、山梨の良さを知り、意外と知らない山梨を“発見”してもらおうという意図は共通している。「『山梨学講座』には学生も来るし、去年は高校生も来ました。経済同友会が絡むことで職業の要素が入り、山梨の良さの中で働きの場が多様であるということも学生に理解してもらえればと考えています」。3つ目は、2015年度採択のCOC+事業だ。「COC+事業は地方創生事業として目標が明確で、雇用の拡大と地元就職率というKPIが設定されています。まさに働きの多様性です」。県内11大学に協力校の横浜市立大を加えた「オール山梨イレブンプラスワン」は山梨大学が幹事校だが、山梨県立大学も副幹事校として大きな役割を果たしている。「11大学のうち8大学が参加する『やまなし未来創造教育プログラム』は、ツーリズム、ものづくり、子育て支援、CCRCの4つのコースと、横断的な地域教養科目からなり、子育て支援と地域教養科目は本学が担当校です」。コースから6単位、地域教養から4単位、計10単位取ると修了証書が得られる。コンソーシアム山梨の単位互換制度とは異なり、山梨の地方創生、産業振興に合わせた一つのプログラムであることが特徴だ。初年度(2017)実績としては528人が履修登録した。今後の展望として清水学長が語るのは「地域貢献度開発指標の提言」だ。「大学教育の質保証の観点からの地方貢献度の指標開発ができれば、大学での学びと地域での働きとが結びつくシナリオになる。本学のように、地域貢献科目群を設定し、その科目についての学修成果を測定して、大学もしくは学部や学科ごとの数値を、大学の教育力・地域貢献度を示すものとして私大協・公大協等の団体を通じて公表するのです」。全学教育力は3.5、地域貢献度は3.6、のような「大学の通信簿」になるわけだ。「本学だけでなく、多くの地方大学がそういう形で公表していけば、大学・短大の存在意義や価値のアピールにもつながっていく。予算獲得の大きなエビデンスにもなる。一つの大学ランキングにもなりうると思います。そうなればみんな努力しますよ。マスコミも取り上げるでしょう」。大学の地域貢献度指標としては、雇用創出数と地元就職率の2つをKPIとするCOC+、日経「大学の地域貢献度ランキング」等が従来あるものの、社会の関心は広がっておらず、数値化・定量化の難しさを感じさせるものにとどまっているきらいがある。「地元就職率何%、卒業率何%、国家試験合格率何%といった数字も、一つの指標として大事ですが、それだけではなく教育の質を、各大学が社会に示すことが、これからは必要だと思います」。地域貢献度開発指標の開発を検討(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)

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