カレッジマネジメント210号
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68リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018教員組織の健全な運営は、現場を巻き込んだ教育改革を実現するための必要条件ではあるが、そのことが直ちに個々の教員による教育改善や教育の組織的展開に繋がるわけではない。大学教員や教員組織を画一的に論じることはできないが、強い自尊感情を持ち、何を研究し、何を教えるかは自分が決めると考えているのが大学教員であり、その前提に立って運営されているのが教員組織という実態は、多くの大学に共通していると思われる。研究が教員個々の興味・関心に基づくものであることは言うまでもない。教育の内容や方法についても教員任せという点については様々な考え方もあるだろうが、採用間もない若手教員であっても、当人からの求めがない限り、教育の内容や方法に関する助言すら難しいというのが筆者の実感である。その一方で、学生による授業評価を見ると、全学共通科目の中でも、同じ教育組織内であっても科目間で評価に大きなバラツキがある。授業評価のみで教育の質を測ることはできないが、バラツキを最小に抑え、分布全体を上方にシフトさせることは、教育の質保証の本質的課題である。教員採用は決定的に重要な意味を持つ教員組織の実態を踏まえながら、教育の質を向上させていくために何が必要か。この点で、教員採用は決定的に重要な意味を持つ。多くの大学において、教員選考は研究業績に重きを置いて行われているのが実情であろう。大学として高い研究力を確保しようと考えれば当然である。同時に、大学院や研究員時代の研究環境とそこで身につけた学問への向き合い方が、研究能力のみならず教育能力にも大きな影響を与えるという点を十分に踏まえておく必要がある。学問分野が細かく専門分化し、狭い領域でオリジナリティを競う傾向が強まる中、近接領域を含めて学問を広く俯瞰的に捉え、研究テーマの位置付けや意義を明確に説明できることは、論文投稿や競争的資金の獲得において極めて重要である。また、国際的な競争の熾烈化を背景に、学術研究は著しい発展を遂げつつある。教育の水準を維持・向上させるためにも、最先端への関心は不可欠である。このような人材を確保できるかは、大学によって、あるいは学問分野によって、状況が大きく異なるはずである。研究業績に重きを置いた場合、研究能力の高い人材ほどいわゆる有力校に集中することは避けられず、若い優秀な教員を採用しても業績が上がると、より条件の良い大学から引き抜かれてしまう。一部の有力校を除く多くの大学が経験「現場が変わる」教育改革の実現に向けて(概念図)これまでの活動が成果に繋がりつつある領域これから特に力を入れるべき領域◆教員組織における問題の発生や深刻化を抑制する仕組み1)組織運営のルールづくり2)相談役・調整役となるシニア教員の存在3)組織運営への職員の参画◆教員が主体的に教育改善に取り組む環境を整える1)大学教育を振り返る場2)複数教員による共同授業3)教育活動に対する表彰制度◆「学生」を起点に協働し、教育改革に繋げる   etc.学長・副学長学部長・研究科長教員組織

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