カレッジマネジメント210号
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7リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018が低くなれば、キャリアアップやキャリアチェンジを図るために、個人主導で新たな職業能力を獲得しようとする動きもあるだろう。企業外での職業能力形成に関わる学びの重要性は増している。さて、「企業内」教育訓練においても、実は外部機関から講師を招いたり、企業負担で商工会等が行うセミナー等に参加することが含まれていたりする。企業内教育訓練はその全てが企業内で完結するものとは言えず、外部資源を活用していることが少なくない。少し前の資料になるが、労働政策研究・研修機構(2007)では、こうした企業内教育に活用される場合も含めて、労働者に教育訓練サービスを提供する外部機関を教育訓練プロバイダーと呼び、その全体像の把握を試みた。当時の推計であるが、機関数にするとおよそ1万5000組織、その事業収入から推計される市場規模はおよそ1兆3000億円程度となった。事業収入の面から占有率を求めると、大学・大学院等は5.3%、専修・各種学校も同じく5.3%であった。この教育訓練需要の7割がたは民間企業による供給でまかなわれていた。さて、企業の指示によるものではない労働者が自発的に行う教育訓練、即ち自己啓発の状況については表1に示した(「能力開発基本調査※3」厚生労働省)。直近の調査と10年前の調査を合わせて示しているが、いずれも自己啓発の実施者の割合は46%程度でほぼ変わらない。さらに右は、その際にどのような教育訓練機関を活用したかである。大学・大学院等での受講も、専修・各種学校での受講も数%と少ない。さらに、2016年は10年前よりその割合を落としている。増えているのは、「ラジオ、テレビ、専門書、インターネット等による自学自習」である。恐らくインターネット経由での学習が増えてい特集 人生100年時代の社会人教育資料出所:厚生労働省「能力開発基本調査」調査年度自己啓発を実施した教育訓練機関(複数回答)専修学校、各種学校の講座の受講 高等専門学校、大学、大学院の講座の受講民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加公共職業能力開発施設の講座の受講社内の自主的な勉強会、研究会への参加社外の勉強会、研究会への参加通信教育の受講ラジオ、テレビ、専門書、インターネット等による自学、自習その他 不 明 2006年46.2(100.0)(3.8)(2.5)(28.6)(6.4)(42.8)(23.2)(21.3)(39.0)(4.6)-2016年45.8(100.0)(2.0)(1.1)(22.9)(2.6)(29.1)(24.1)(19.4)(49.4)(9.2)(0.3)表1 労働者(正社員)の自己啓発実施割合及び受講した教育訓練機関の種類N授業料の一部または全部を会社が負担している授業料以外の受講にかかる費用を援助通学期間を長期有給休暇にしている無給の休暇を取りやすくしている授業のある時はフレキシブルな勤務時間としている通学が理由で評価等に不利益がないことを確約通学していることを社内で公言しづらい雰囲気をなくす その他大学院での受講11765.033.36.01.534.229.117.16.0大学での受講9061.132.25.68.927.824.418.97.8専修・各種学校等での受講23073.934.32.87.023.514.88.75.7表2 従業員の教育機関での受講を認めている場合の支援の種類(MA)資料出所:労働政策研究・研修機構(2015)(%)(%)

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