カレッジマネジメント210号
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8リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018ると想像される。高等教育機関は、まだまだ「社会人の学び」の場となっていない。フルタイムで働く「社会人の学び」において阻害要因になっているのは、時間と費用の問題であることはよく知られている。同じ調査によれば、受講に当たっての費用の補助を受けた者は半数弱いたが、その補助は95%までが勤務先の企業によるものであった。次に紹介する「国の教育訓練給付金制度」による補助を受けた者は数%とまだ少なかった。企業による支援のもう一つは時間の問題である。次に示す資料(前ページ表2)は、大学・大学院、専修・各種学校での受講を企業が認めている(業務命令で受講、または業務命令ではないが会社として支援)場合の支援内容を示したものである※4。費用の負担に加えて、勤務時間をフレキシブルにするといった措置があるケースが大学・大学院受講では3割ほどになっている。個人の職業的学びに対する政策的支援には、広くは公政策的支援:専門実践教育訓練給付金共職業訓練等もあるが、受講を費用の面から支援する「教育訓練給付金制度」はその一つの柱である。なかでも2014年に創設された「専門実践教育訓練給付金制度」は、高等教育機関での学びにも活用されているので、これについてみる。同給付金制度は労働者の中長期的キャリア形成を支援する目的で設定され、指定講座の受講費用の50%を6カ月ごとに支給(種類によるが最大3年)、さらに終了後1年以内に資格取得し就職等した場合には受講費用の20%を追加支給するものである。制度開始から2016年度末までの受給者数は1万5489人、現在の指定講座数(2018年4月指定分含む)は2133講座を数える。講座には次の6つの類型がある。第1類型:業務独占資格または名称独占資格取得を目標とする養成課程。指定講座数1180で看護師や社会福祉士の養成課程等。第2類型:専修学校の職業実践専門課程。指定講座数742で商業実務や経理・簿記等。第3類型:専門職学位課程。指定講座数77でMBA、MOT等。第4類型:大学等の職業実践力育成プログラム(BP)。指定講座数94。第5類型:一定レベルの情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程。指参考:左記の講座に対する支給実績(2017年9月末時点)指定講座数(2017年4月1日時点)うち支給実績あり講座実受給者うち女性昼間課程2066853講座(41.3%)6484人(1講座平均3人)4214人(65.0%)夜間課程170143講座(84.1%)2178人(1講座平均13人)1149人(52.8%)土日課程8554講座(63.5%)2381人(1講座平均28人)566人(23.8%)通信課程9662講座(64.6%)4711人(1講座平均49人)3148人(66.8%)計24171112講座(46.0%)15754人(1講座平均7人)9077人(57.6%)厚生労働省・第3回労働政策審議会人材開発分科会(2018年2月6日)資料より転載http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193233.html表3 開講形態別指定講座数及び対応する専門実践教育訓練給付金支給実績

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