カレッジマネジメント210号
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9リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018定講座数24、シスコ技術者認定CCNP等。第6類型:第4次産業革命スキル習得講座。指定講座数16、データサイエンティスト養成等(2018年4月から)。また、講座認定の基準は、養成目的の資格等が就職可能性の高いものであってキャリアに長く生かせること、加えて当該講座のこれまでの実績から資格等の取得率や就職率が高く、効果があると認められることである。社会人が実際にこれらの講座の受講をしているのかどうかが問題だが、これには講座の開講形態が大きく影響していた。給付金の支給実績から社会人の受講状況が推測できるが、これは、夜間課程や土日課程、通信課程で高い(表3)。さらに類型別に見ると、土日課程は第3類型で、また夜間や通信は第1類型で特に実績が上がっていた。講座の開講形態によって社会人の時間の制約の問題に対応できれば、受講は増えると思われる。わが国の高等教育機関には他国と比べて成人学生が明らかに少ない。高等教育機関の側でも、これまで手をこまねいてきたわけではなく、社会人向けの講座を設定してきた過去があっただろう。その際に、日本型雇用慣行は、通学の時間を与えず、また、企業外での学習成果は評価せずといった形で水を差してきたのだろう。結果として、職業生活引退後の教養講座のような部分だけが残ったのではないかとも思う。それでも、今、高等教育機関に対して、職業人を想定したBP等の取り組みをお願いしたい。最も気になっているのは、現在の第4次産業革命と言われる技術革新である。AI、ロボット、IoT等の新技術の展開は著しく速い。この技術革新は働く場所や時間の制約を小さくする特徴があるが、これをメリットとするためには、職務を明確化した雇用管理が求められる。加えて、この技術そのものが企業特殊的でない部分が大きく、企業外で提供される教育訓練のほうがより効率的になる可能性は高い。日本型雇用慣行を大きく揺るが第4次産業革命と「社会人の学び」:高等教育機関への期待す技術革新なのである。また、これまでの雇用関係とは異なる働き方の拡大も諸外国では進んでおり、国の制度も対応を求められている。この技術革新によって、職業構造の大きな変動が起こるとも予想されている。2030年までに生産工程の職業が190万人近く、事務職が80万人近く減ると予想され、増えるのは対人的な付加価値を求められる介護や販売等の職業と技術者である(厚生労働省、2017)。現在、大卒女性の多くは事務職に就くが、既に雇用不安を感じる人が増えている。キャリアチェンジやキャリアアップのための学びの機会がこれからさらに求められるのではないか。高等教育機関ならではの腰を据えた学びのプログラムを、開講形態の工夫を含めて期待したい。もちろん長時間労働の是正、教育訓練休暇制度の拡充等の改革は並行して進めなければならないが。特集 人生100年時代の社会人教育【引用文献】厚生労働省(2018)「第3回労働政策審議会人材開発分科会 資料」http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193233.html厚生労働省(2017)『平成29年版 労働経済の分析』労働政策研究・研修機構(2007)『日本の職業能力開発と教育訓練基盤の整備』第1期プロジェクト研究シリーズ報告書No.6.労働政策研究・研修機構(2015)『企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査』調査シリーズNo.142労働政策研究・研修機構(2017)『日本的雇用システムのゆくえ』第3期プロジェクト研究シリーズNo.4※1同調査における「一般労働者」は、短時間労働者以外の者であるが、雇用期限に定めのない者ばかりでなく、1カ月を超える期間で雇われる者等も含まれるので、いわゆる「正社員」より幅広い定義である。※2労働大臣官房政策調査部産業労働調査課「賃金労働時間制度等総合調査報告」及び厚生労働省大臣官房統計情報部賃金福祉課「就労条件総合調査報告」による。調査は、常用労働者数30人以上の民営企業を対象にしており、「常用労働者1人当たり1カ月の教育訓練費/同総労働費用」で求める。なお「常用労働者」とは、期間を定めずに、または1カ月を超える期間を定めて雇われている者、加えて調査の前月・前前月に18日以上働いた者。「労働費用」とは、使用者が労働者を雇用することによって生ずる一切の費用、「教育訓練費」は労働者の教育訓練施設に関する費用、指導員に関する費用、謝礼、委託訓練に関する費用などの合計額である。※3対象は、常用労働者(期間を定めずに、または1カ月を超える期間を定めて雇われている者)30人以上を雇用する事業所に属する労働者から抽出された者。ここでは正社員(フルタイム、無期雇用)のみの回答を示す。※4農林漁業・公務を除く常用雇用者100人以上の企業9976社を対象に2014年に実施(有効回答率:14.8%)。なお、調査対象のうち大学・大学院、専修・各種学校での受講を業務命令として実施している企業は9.3%、業務命令ではないが会社として支援している企業は13.4%であった。

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