カレッジマネジメント211号
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20リクルート カレッジマネジメント211 / Jul. - Aug. 2018減少の要因には2つのパターンがある。①自県出身者が減る場合 ②他県出身者の流入が減る場合だ。図4ではそれぞれを横軸/縦軸にとり、傾向を見てみたい。2軸の数値が同じになる部分で領域を2分割すると、右下の領域が、自県出身者減少率が他県流入者減少率を上回る都道府県であり(31県)、左上の領域はその逆となる(16県)。自県出身者減少率、他県出身者減少率の全国平均(8.5%、12.7%)を参考までに図に加えている。まず、自県出身者の減少率が他県からのそれを上回る、右下(ブルー)から見ていこう。即ち、数値上では足元を固めるだけでは足らず、他県からの流入を確保できないと苦しい領域である。2016年と比較して20%以上自県出身者が減少するのは、青森、岩手、秋田、山形、福島、群馬、新潟、山梨、長野、富山、奈良、和歌山、高知の各県だ。こちらは18歳人口の減少率(2016→2030年)が高い上位13県である。特に東北エリアに関しては6県中宮城県を除く5県がブルー領域に含まれているが、自県占有率(地元率)の東北エリア平均は46.9%とやや高く、自県の残留に頼っている状況下で同時に人口自体も減少していることが分かる。この領域にある県は、自県のマーケットそのものが縮小しているため、他県からの入学者をどのように確保していくかが課題となるだろう。一方、左上(ピンク)の領域には人口動態の中核となる大都市が含まれているのが特徴で、全体的に18歳人口の減少率は低い。数値的にも自県よりも他県からの流入者が減る割合が高い。全国で18歳人口が増加する東京都と沖縄県もここに所在するほか、比較的減少率が低い各県が並ぶ。この領域に関しては、自県のマーケットもまだ残存するため、まずは地元からの入学者を確保したうえで他県からの流入者も獲得していくことが重要となる。なお、18歳人口の状況と自県比率も密接な関係にある。図4 他県出身者の大学進学者数減少率×自県出身者の大学入学者数減少率(2030年:都道府県別)35.030.025.020.015.010.05.00.0-10.0-5.00.05.010.015.020.025.030.035.0②他都道府県出身者の減少率が高い①自都道府県出身者の減少率が高い(%)(%)全国平均8.5%全国平均12.7%北海道東北北関東南関東(首都圏)甲信越北陸東海関西中国四国九州・沖縄北海道奈良和歌山茨城岐阜静岡三重宮崎埼玉千葉熊本愛知滋賀福岡沖縄東京鹿児島神奈川佐賀栃木群馬徳島愛媛高知富山石川京都鳥取大分広島島根山口岡山兵庫福井大阪香川新潟秋田山梨長野長崎福島山形岩手青森宮城他県出身者減少率 >自県出身者減少率他県出身者減少率 <自県出身者減少率地元だけでは厳しい都道府県地元からの入学者確保が大切な都道府県自県出身者と他県出身者のどちらを押さえるべきか自県人口が減少する中で地元率の高さはリスクになる可能性も

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