カレッジマネジメント211号
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21リクルート カレッジマネジメント211 / Jul. - Aug. 2018図5を見ていただきたい。自県占有率(地元率)を縦軸に、自県大学入学者数減少率を横軸にとり、それぞれの全国平均である44.9%と8.5%を境界にして4象限に分割した。各象限の状況を以下に示したい。まず地元率も自県減少率も平均値以上という右上の象限①である。分布するのは北海道、青森、岩手、宮城、栃木、新潟、静岡、福井、大阪、兵庫、三重、広島、愛媛、長崎、宮崎の各道府県。これらは人口減少がそのまま募集基盤の減少につながるため、積極的に他県等からの入学者確保を行う必要がある。次に、地元率は低く自県減少率が高い右下の象限②である。分布するのは秋田、山形、福島、埼玉、茨城、群馬、山梨、長野、岐阜、富山、石川、京都、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、山口、徳島、香川、高知、佐賀、大分の各府県。概観するに、大学進学時に他県に流出するか、大学入学者の中で他県からの流入が占める割合が高く、相対的に他県比率が高くなっている各府県である。自県マーケットは縮小するが依存度合が低いため、短期的にはそこまで大きな打撃にならない可能性がある。縮小するマーケットへの依存度を高めるのか、他マーケットからの補てんを考えるのか、判断が分かれるところであろう。次に、地元率が高く自県減少率が低い左上の象限③である。愛知、福岡、熊本、鹿児島、沖縄の各県が該当する。自県出身者比率が高い状況下で自県マーケットはさほど縮小しない(沖縄県に至っては増加する)という状況が起こる。いずれ自県マーケットが減少フェーズに入った際には一気に基盤減少につながりかねず、今のうちに打ち手を講ずる必要があろう。最後に、地元率も自県減少率も低い左下の象限④である。千葉、東京、神奈川、滋賀が該当する。比較的広域集客が得意な大学が多く分布する都市部、あるいは都市部の大学の郊外キャンパスの設置エリアであるため、外からの流入が多い都県と言える。このように、一言で大学入学者数の確保といえども、都道府県ごとに課題と対策は異なる。データをご参照のうえ、是非マーケット戦略に活用していただきたい。図5 自県占有率(地元率)×自県大学入学者数減少率(2030年:都道府県別)100.090.080.070.050.060.020.030.040.010.00.0-10.0-5.00.05.010.015.020.025.030.035.0自県占有率が高い自県の大学入学者数の減少率が高い(%)(%)自県大学入学者減少率全国平均 8.5%自県占有率全国平均 44.9%北海道東北北関東南関東(首都圏)甲信越北陸東海関西中国四国九州・沖縄北海道奈良和歌山茨城岐阜静岡三重宮崎埼玉千葉熊本愛知滋賀福岡沖縄東京鹿児島神奈川佐賀栃木群馬徳島愛媛高知富山石川京都鳥取大分広島島根山口岡山兵庫福井大阪香川新潟秋田山梨長野長崎福島山形岩手青森宮城①③②④国内の18歳人口動態はどうなるのか特集 2030年の高等教育

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