カレッジマネジメント211号
9/78

9リクルート カレッジマネジメント211 / Jul. - Aug. 2018ア諸国がまず挙げられていたが、2010~20年の間には複数のアジア諸国で15~64歳の人口割合がピークを迎える。それはすなわち、中国をはじめとするアジア諸国が労働力を輸入する国に変わり、日本はそれらの国々と労働力獲得競争を始めなければいけないということである。外国人は「呼んでも来てくれない」のである。さて、そうなると図1-2に示す右上の領域、AI・ロボッ日本はAI・ロボットの活用を進めるしかない労働力人口が減少する日本において、それを補う助け舟になりうるのがAIやロボットである。AIやロボットが人間の労働力に代わって仕事をするということは、20世紀に機械化によってブルーカラーの仕事を変化させたのと同様に、21世紀はホワイトカラーの仕事を変化させていく。図2-1に2030年の産業別就業者数の推移を示す。2014年と比較すると、医療・福祉で215万人、情報通信業で36トによる労働力の補完に期待が大きくなる。人間と違いAI・ロボットは、疲れない、間違えない、さらに文句も言わないという、労働力としては極めて有り難いものである。とはいえまだまだ万能ではないことは明らかであるが、2030年に向けてどの程度、どういった領域で活用できるものなのか、本稿で整理をしていく。確実なことは、女性や高齢者の就労参加を促しても人は足りず、外国人を呼ぼうとしても来てくれない日本では、AI・ロボットに働いてもらうほかないということである。万人、その他のサービスで21万人増加する。一方で、製造業全体では18万人減、鉱業・建設業では81万人減、卸売・小売業では144万人減少することが見込まれる。これらの増減は、AI・ロボットの活用が進むことで、さらに大きく変化していくと考えられる。就業者数が増加傾向にあるのは、医療・福祉、情報通信業、その他のサービスである。医療・福祉に関しては間違いなく高齢化の進展がある。一般に、老年人口が多い市区町村ほど医療・福祉従業者数が多い関係にあるが、今後各地域で高齢化が進めば、医療・福祉従事者はますます必要になる。今後AIやロボッAIによる産業変化22014年実績2030年推計出所)労働政策研究・研修機構「平成27年 労働力需給の推計」10002003004005006007008009001,0001,100(人)2305054241,0049861421371361321451411054764712062421,1009562343282982371623603423823444494701553007479622063173022928105216公務・複合サービス・分類不能の産業その他のサービスその他の事業サービス生活関連サービス教育・学習支援医療・福祉飲食店・宿泊業金融保険・不動産業卸売・小売業運輸業情報通信業電気・ガス・水道・熱供給その他の製造業輸送用機械器具電気機械器具一般・精密機械器具食料品・飲料・たばこ製造業鉱業・建設業農林水産業+17%+29%+5%-13%図2-1 産業別就業者数の推移医療・福祉、情報通信業、その他サービスが増加傾向各産業における就業者数の変化産業構造・就業構造の姿とは特集 2030年の高等教育

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る