カレッジマネジメント212号
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42リクルート カレッジマネジメント212 / Sep. - Oct. 2018考として専門性が先行し、絞りすぎの人事も多かったという。例えば、本来であればその学科の専門基礎科目が全て教えられるような人が望ましい場合でも、実際は一部の特化した科目を教えられることが求められているようなことがあった。そこで2003年に採用の単位を学部に変更したが、学科が上げてきた案を学部長がひっくり返すことは現実には難しい面もあった。2015年からは公募内容を標準化し、必ず入れる項目を示し、公募を出す前に学部長、研究科長、学長が確認してから出すようにし、学長も書類選考に全て目を通すことにした。教員は英語授業が可能な人を学長の英語による最終面接で決定している。2018年度には外国籍教員を一気に12名採用。理事長と学長の間で、毎月1回、首脳懇談会で意見交換をしており、学長が必要だと話すと、理事長が「人事枠を超えて採用してよい」とし、理事会で決定したので大量採用が実現できたという。ガバナンス改革に加えて、学長の素晴らしい運営手腕の効果もまた大きい。お話の中で何度も出てきたのが、この2つのキーワードであった。カルチャー・オブ・エビデンスとは、なぜ改革をしなければならないか根拠となる情報を開示して説明し、思い込みやいい加減なデータで議論しないことである。それまでも執行部の説明に対し、ガバナンスが十分に機能していないと、まさに伝言ゲームのように教員に正確に伝わらないこともしばしばあった。そこで最初は学長が直接教職員に伝えることを心がけたという。今カルチャー・オブ・エビデンスとクリティカル・シンキングでは学部長を通じて伝えている。クリティカル・シンキングとは、できない理由を探すのではなく、どうすればできるのかを考えるという発想の転換であり、このマインドを教職員に求めてきた。そして、この2つのキーワードを支えるのが教職協働であるという。教員は自分の学科のことしか見られないことも多いが、職員は大学全体のことを見ている。学長室会議、教学の最高意思決定機関である学部長・研究科長会議のいずれにも事務の主な部長は出席して意見を言えるし、教授会運営においても、職員が大学全体の動きを把握しているので学部長の仕事を適切に補佐できるという。最初からうまくいっていたわけではなく、かつては重要なことを決める時に職員を外させることさえあったそうだ。その頃は文部科学省の競争的資金を申請してもなかなか通らなかったという。現在の状況からはにわかに信じがたく、GP事業(2003年から始まった文科省の教育改革支援のための競争的補助金、2010年の行政刷新会議の事業仕分けにより廃止)の採択校を調べたところ、確かに2009年の大学教育・学生支援推進事業まで採択されていない。教員と職員が協力し始めて採択され始め、「教員にも協力的な人がいる」「職員にも優秀な人がいる」と次第に相互理解が進んで協力体制ができ、今では出せば概ね通るような状況になったということのようである。SGU事業の構想調書を作るときのエピソードも聞かせてもらった。学長はあえて議論に入らず、若手教職員が泊まり込みで素案を作成したという。学長は調書を出す直前理事会(意思決定機関)(学長室会議)学部長・研究科長会議(審議機関)事務局長評議員会(諮問機関)監事(監事会議)監査室(内部監査)学部長副学長学長首脳懇談会理事長附属機関の長教授会研究科長研究科委員会・教授会学長室員(スタッフ)①諮問機関化②学外者比率向上③選任方法の変更(2014年~)①3名に増員②常勤化(2015年~)選考方法変更(選挙廃止)(2015年~)選考方法変更(2018年~)選考方法変更(選挙→学長指名)(2018年~)学長の諮問機関へ(2014年~)選考方法変更(選挙→学長指名)(2018年~)事務組織((職員)図表3 ガバナンス機構図と近年の改革例

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