カレッジマネジメント212号
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45に対応した経営計画を策定することがグローバル企業の世界基準になっているなかで、APUは既にそれに取り組んでいたのである。APUは、その建学の理念を背景に、教員・学生の半数が外国籍であり、ダイバーシティがあり、グローバル志向が強いことは大学界では有名である。出口学長はこのことを企業経営の観点から意味づけて即座に理解し、高く評価したのである。APUは、ダイバーシティに富んでいるだけでなく、国際水準の教育を提供していることの証明として、経営学ではAACSB、観光学では、TedQualの国際認証を得ている。前者は日本で4校、後者は2校しか得ていないものであり、この国際認証が世界中から優秀な学生が集まってくる基盤となっている。これらの認証は、それを得るためにも多大な努力が必要であるが、維持していくためにも大変な努力が必要となる厳しい第三者評価であって、いわばミシュランの三つ星のようなものである。APUには、アジアからだけでなく、アフリカ、ヨーロッパからも学生が来ており、グローバルな環境に価値がある。これを維持していくためには、国際認証を取ることに尽きる、と出口学長は考えている。これらの認証は大学の教育レベルが国際基準であることの証明であり、APUは教育を専門とする第三者機関に評価されてきた大学といえる。さらに、APUは、これらの国際認証とともに、THE(Times Higher Education)による日本版大学ランキングで全国私大5位、西日本の私大1位の順位を得ている等、大学ランキングでも高い評価を受けている。しかし、残念ながら、このようなAPUの国際的な評価の高さはまだ一般には知られていない。出口学長は、「APUの学長に内定して、霞が関や丸の内に勤務する友人にAPUの特徴を紹介しても、多くの人から“知らなかった”という反応を受けた。また、ある県の教育関係者40人に会合の中で尋ねてみたら、立命館大学は広く知られていても、APUは知られていなかった」と話す。そこで、APUの学長になってまず取り組んだことは、APUについて広く知ってもらうことである。これらの国際認証や大学ランキングでの評価とともに、学生数(5963人)、学生に占める国際学生の割合(50.4%)、出身国・地域数(88)、海外協定大学機関数(465)等のAPUの特徴ある数値を記載した葉書大のカード(「大きい名刺」と呼んでいる)を作成し、自分自身の名刺とともに会う人会う人に渡すようにしているという(図1)。さらに、企業関係者にAPUを理解してもらうためには、APUの学生に接してもらうことが一番効果があると考え、企業からの研修生の受け入れを行っている。2カ月もしくは4カ月間APUの寮に住みながら、英語で開講している経営学の授業を受講したり、国際学生とペアになって英会話を練習する等に取り組む長期研修プログラム(GCEP)を開発し、また、短期集中研修等、様々な企業ニーズに合わせたプログラムを開発して企業に提案している。そして、学生の採用・インターンシップの受け入れの依頼とともに、それらの企業からの研修受け入れ内容を紹介する案内チラシを作成し、広く発信することを始めた。このような取り組みには、企業の人にAPUを知ってもらうことと、APUの学生、特に、世界中から来ている国際学生に日本の企業を知ってもらいたいという双方向のコミュニケーションを願う思いが込められている。広報活動のみではなく、教育や学生への働きかけにも積極的に取り組んでいる。「大学は学生を鍛えるところでリクルート カレッジマネジメント212 / Sep. - Oct. 2018図1 葉書大の「大きい名刺」表裏特集 進学ブランド力調査 2018 国際認証は“ミシュランの三つ星”のようなもの「人・本・旅」で学生を鍛える
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