カレッジマネジメント212号
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46リクルート カレッジマネジメント212 / Sep. - Oct. 2018あり、いい学生を育てることが大学の全てであり、大学の役割であると考えている。その中でも、人間は『人・本・旅』で鍛えられると思っている」と出口学長は話す。このことは、島崎藤村が、三智という言葉で「人の世には三智がある。学んで得る智、人と交わって得る智、自らの体験によって得る智がそれである」と言っていることと同じであるとして、学長就任後、APUでこれに対応すべく3つのことに取り組んでいる。まず、「人」の面としては、APUでは寮生活を通じて人との関係が鍛えられていくので、寮を充実させる方針を立てた。現在は、1年生の内日本人は7〜8割、国際学生は全員が寮生活を経験しているが、これを100%にすることを目標にしている。「本」については、大学時代には、本を読まなければいけないことを学生に伝えている。しかし、ただ読め、というだけでは伝わらない。そこで、どのような本を読んでほしいのか古典を中心としたブックリストを作って、入学式で新入生全員に配った。また、元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞氏が中心になり、ウェブサイトで若いビジネスマン向けにノンフィクション書の書評活動を行っている集団である「HONZ」の関係者をAPUに招いて、本好きの学生、教職員との討論会を企画する等、読書を促す具体的な取り組みを実施している。「旅」については、現在、APUの国内学生で海外留学する学生は1割くらいしかいない。これを、2030年には、100%海外学習を経験することを目指して、学長直属のプロジェクトを立ち上げ、そこで、全員留学のための計画と目標を作って具体化を図ることとした。このように、「人・本・旅」で学生をさらに鍛えていくことを目指している。APUの何よりの特徴は、教員も学生も日本で一番、ダイバーシティが進んでいることにある。APUのダイバーシティは、外国からの国際学生(留学生)が多いだけではなく、国内学生も全国から集まってくることにその特徴がある。APUの国内学生は、関東が3割弱、近畿が約2割であり、地元九州・沖縄は1/3となり、学生数5000人以上の大学では、出身地域の多様性が一番高い。そして、APUの国際学生は、アジアからだけではなく、アメリカ、アフリカ、ヨーロッパからも来ている。出口学長は、「このようなダイバーシティに富んだ環境は、ベンチャー企業を生み出すことに最も適している。このことは、アメリカの研究でも示されており、そうであれば、APUは日本で一番ベンチャーを生み出さないとおかしい」と話す。そこで、2018年7月に学長直轄プロジェクト「APU起業部」(通称・出口塾)を始動して、起業家育成を行うこととした(図2)。この新たな取り組みは、本気でビジネスプランを考える学生のみを対象として、その意欲ある学生に複数の教職員がメンターに付き、起業するまで支援するものである。「ビジネスコンテストに出ることが目的ではない。本気でビジネスプランを考えて起業することが目的」として、この取り組みを「出口塾」と名付け学長が塾長となることで、大学として本気であることを学生に示したという。2018年6月から7月にかけて学内から塾生を公募したところ、71組(件)90人から応募があった。審査の結果、32組40人を採用し、ビジネスプラン作成から起業するまでに必要なことを教え、ハンズオンでサポートしていくという。他方、APUでは、地域交流や地域貢献にも積極的に取り組んでいる。大分県の全ての市町村と協力協定を結んでおり、年間1万2000人の小中学生らが訪れている。小中学生がAPUの国際学生と接することで、出会った学生の出身国から世界地理に興味を持ち、また、英語を図2 APU起業部(出口塾)ポスターダイバーシティから生み出す「APU起業部(出口塾)」
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