カレッジマネジメント212号
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58リクルート カレッジマネジメント212 / Sep. - Oct. 2018なってくるのは当然であり、大学等は、修了時の学修者の「伸び」を意識した質の保証を図っていく必要がある。こうした観点から、質の保証を一層確保するためには、・全学的な教学マネジメントの確立とその前提としての学修成果の可視化・設置基準の見直しを含む入口での設置認可と認証評価制度の改善及び恒常的な情報公表の促進が必要である。■全学的な教学マネジメントの確立とその前提としての学修成果の可視化各大学の教学面での改善・改革に係る取り組みを促していくために、どのような点に留意し、どのような点から充実を図っていくべきか等を網羅的にまとめた教学マネジメントに係る指針を、大学関係者にも参画いただいて作成し、各大学へ一括してお示しする。この指針については、教育内容や教育方法の改善等、過去の答申等で個別に示された事項等も一元的・専門的に整理することとしており、今年秋に予定されている答申が出た後から議論を開始し、取りまとめたいと考えている。なお、教学マネジメントの確立に当たっては、各大学は、学生個人の学修成果に関する情報を的確に把握・測定し教育活動の見直し等に活用することが求められる。また、大学が地域社会や企業等の外部からの声や期待を意識し、積極的に説明責任を果たしていくという観点から、大学全体の教育成果の可視化の取り組みを促進し、公表することも重要である。■設置基準の見直しを含む入口での設置認可と認証評価制度の改善及び恒常的な情報公表の促進認証評価制度については、より効率的・効果的で実質的な改善に繋がる評価となるよう、各種評価制度の重複の整理や、受審期間の見直し、優れた取り組みの積極的な発信、適格認定の徹底を行う。学修成果や教育成果の可視化に留まらず、大学教育の質の向上に係る情報を積極的に把握・公表していくことが重要であり、情報によっては、大学に新たに義務付け、教学マネジメントの中で一定の指針を提示する等して、情報公表を促進する。また、各大学等の基本的な情報については、当該大学等が積極的に公表するのみならず、社会全体が効果的に活用することができるよう、全国的な学生調査や大学調査等を通じて、整理し、比較できるよう一覧化する機能を設けることを検討する。設置認可についてもこうした検討の方向性を踏まえ、答申に向けて議論を行うこととしている。今回、将来構想部会の議論の中で、大学進学者数の推計を試みた。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、現在約120万人の18歳人口が、2030年には105万人、2040年には88万人に減少すると試算されている。過去4年間(平成26(2014)〜平成29(2017)年度)の都道府県別・男女別の大学進学率の伸び率を基に2040年の大学進学率を推計※2したところ、2040年の大学進学率は57.4%となり、平成29(2017)(3)18歳人口を踏まえた大学の規模や地域配置プランニングチーム活動コミュニケーションシステム技術設計技術技術経営デザインマーケティング継続的学修・研究拡大【参考】学生が取得した学位・資格等の学修成果を可視化し、補足する資料(ディプロマ・サプリメント)(産業技術大学院大学HPより作成)図2 学生が身につけた能力・付加価値の見える化◉ 教育内容の改善(カリキュラム編成の高度化)◉ 教育方法の改善(シラバスの記載の充実、成績評価基準の適切な運用)◉ 教職員の資質の向上(FD・SDの高度化)  等≪教学マネジメント指針に盛り込むべき事項の例≫◉単位・学位の取得状況 ◉卒業後の進路の状況(就職率、就職先等) ◉学修時間◉学生の成長実感・満足度 ◉学生の学修に対する意欲◉入学者選抜の状況◉留年率・中退率◉教員一人当たりの学生数◉履修単位の登録上限設定の状況◉ 早期卒業や大学院への飛び入学の状況◉ FD・SDの実施状況 等≪把握・公表すべき情報の例≫●大学が把握・公表した情報に関する全国的な収集・調査を行い、 情報を整理・比較・一覧化する機能を確保する必要性について議論中。●教学マネジメントに係る具体的な指針となるものを、中央教育審議会のもとで作成し、各大学へ一括して示す必要。 学修成果の可視化と情報公表 教学マネジメントに係る指針の策定全国的な収集・調査情報の「把握」と「公表」の義務づけ「教学マネジメント」確立の必要性

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