カレッジマネジメント212号
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61リクルート カレッジマネジメント212 / Sep. - Oct. 2018て、各学部のカリキュラムの全面改正を完了しました。2019年度からは共通教育のカリキュラムを全面改正し、アクティブラーニングやナンバリングを全学的に導入して、教育課程編成の体系化を促進する等、着々と教育改革を実行に移しています。教育制度改革は、2016年度からはPROGテスト(ジェネリックスキル測定)、2018年度からはカリキュラム・マトリクスを導入しました。2019年度からは、入試・教務・就職の基幹システム統合を図り、ポートフォリオ機能を有した「学生の成長が見える」教育コンテンツの充実等、現在も改革にまい進しています。このように教学グランドデザインに基づき、これまで教育・教育制度改革を積極的に行ってきました。レディメイド型からオーダーメイド型の 学生支援へ転換上述の教育・教育制度改革に加えて、さらに、私が学長に就任して新たに行う施策があります。入学前から卒業後まで学生の個性を大切にした個別支援体制「J-TAS(Jissen-Total Advanced Support)」です。2019年4月から始動します。昨年4月に学長に就任した際に学内外に公表した「2018年度の学長方針」として、“学生第一”を掲げました。これまでは、教員や助手によってきめ細かな支援体制を実現してきましたが、学生が多様化する中、さらに学生一人ひとりの個性に合わせた学生支援に一段深化させることとしました。つまり、レディメイド型からオーダーメイド型の学生支援に転換を図るということです。これが実現できるのは、本学の学生規模と、何よりも建学以来の本学の伝統である、きめ細やかなサポート体制への教職員の理解があるからです。まさに、約120年の伝統の中で育まれ、受け継がれてきた「実践女子大学の強み」なのです。教育制度改革で導入したPROGデータの検証結果等から、本学学生の課題の一つが「自己を正当に評価せず自信を持てていない」であることが見えてきました。この解消を本学学生支援の重点課題と定め、正課の授業の充実に加えて、学生の成長機会である「充実した課外活動」を教育コンテンツとして学生に提供することにより、学生の「成長実感と自信の獲得」を支援していくこととしました。そのために、これまで学内で行っていた課外活動やボランティア活動情報をシステムで一元的に集約し、確実に学生に情報を伝える教育コンテンツ「イベントナビゲーション(仮称)」を開発して2018年度中に学生に提供を開始します。また、授業や課外活動での経験をそのままにせず、適切なリフレクションやレビュー等の機会提供の重要性も認識しています。学生が学修や活動を振り返り、自身で経験を顕在化・言語化できるようになることで、成長を実感し、自信を高められると考えるからです。これを実現すべく、職員によるアドバイザー制度、上級生が下級生に教えるTA・SA制度と学生サポーター制度(仮称)を順次導入します。これまで主に教員が担ってきた学生へのリフレクションやレビューを職員、あるいは学生同士が行えるようにして、教育、支援する仕組みづくりです。特に、学生サポーター制度の導入は、下級生の成長のみならず、上級生の成長も期待できます。また、下級生が次の支援者に育っていくことで、卒業後も学生のサポート役として、就職してからも、愛校心を持って後輩の支援をする関係性ができてきます。こういう仕組みが継承されていけば、卒業生の力も活かした学生支援を可能とする大学に変わっていけると思います。これら学生支援の仕組みを支えるシステム導入と事務組織の再構築も進めます。特にシステム導入では、学生個々人が教育・学修の成果や活動成記録を積み上げていけるよう、新たな学生カルテ・ポートフォリオシステムも導入し、学生情報の一元化も行い、卒業時には大学での教育成果や課外活動への参加記録がまとめられます。教職員は正課と正課外で蓄積された学生情報を基に、オーダーメイド型のきめ細やかな修学指導に活用することで学生が成長実感と自信を得られる学生支援に転換します。教育改革・制度改革から始まった一連の教学改革によって、これからの社会を生き抜く学生が「実践的」な教育コンテンツの経験を通して、成長し続けるよう、教職員が一丸となって支援していきます。学内外の豊かな人間関係の中で育った学生が「社会を変え、世界を変える」ことを心から期待します。

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