カレッジマネジメント212号
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くすぐりの輪  凛々しい着物姿で、大学会館内の和室に集合してくれたのが岡山大学・落語研究会の部員達。現在27名の部員を率いるのは、第48代目部長の近藤孝俊さん。50年近く受け継がれてきた伝統ある落語研究会だ。「私達の落語研究会は、入部後に3年生と1年生が1対1の師弟関係を組み、上級生の師匠から学んでいくという伝統があります。そして、高座名も師匠から一文字を受け継いでいきます」。伝統的な特徴について語る近藤さんの高座名も、師匠から「彼」という文字を頂いた『椿家吾こ彼(つばきや・あこがれ)』という名だ。「毎年、春と冬に行われる定期寄席と夏休みに行う学年別の有志寄席が、大きな2つの行事です。OB主催の寄席も年1回開いています」。こうした寄席には地域のお年寄りの方やお笑い好きの方、リピーターの方等多くのファンが足を運んでくださる。「落語やお笑いの言葉で『くすぐり』という笑わせる仕掛けの部分があるのですが、寄席の現場では、目の前のお客さまの反応がすぐに分かる、つまり、ネタの途中で結果が見えるという緊張感があります。時には、その場の反応によって話のネタを途中から入れ替えて話すケースもありますね」。もともと漫才が好きだった近藤さんは、落語が得意なほうではなかったので、You tubeの動画でプロの落語家の話し方を学んだり、歴代の先輩達の記録DVDで、同じネタの話を研究する等しながら落語独特の話し方や身振り、間合いなどを身につけていった。同期には落語の実力のあるメンバーも多く、「策伝大賞」と呼ばれる全日本学生落語選手権で準グランプリ(審査員特別賞)を受賞した。そのことが刺激となって、次のこの大会や「転失気杯(てんしきはい)」という大会への出場を目指すメンバーも出てきており、皆で切磋琢磨しているという。「落語をはじめ、お笑いをやっている喜びは、皆さんの笑顔をつくることだと思っています」。そう語る近藤さん達の「くすぐりの輪」が、これからも地域の人々の笑顔を広げていってくれるだろう    (写真・文/西山俊哉)近藤孝俊 さん(教育学部中学校技術専修3年)学生のリーダー岡山大学 落語研究会当代当代Vol.74

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