カレッジマネジメント213号
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13リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018といった固有の財産を持つ我が国の学校教育が150年にわたって重視してきた力そのものである。また、このような社会の構造的変化のなかで、社会経済的な価値の創出という次元だけではなく、人間存在としての価値や人格とは何かが問われている。そのため、2017年3月の小・中学校学習指導要領改訂及び本年3月の高等学校学習指導要領改訂【資料1】においては、我が国の学校教育の教育課程を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という構造で捉え直して整理した(この構造は、前述のOECD Education 2030 Learning Frameworkで重視しているKnowledge、Skills、Attitudes & Valuesという資質・能力の考え方に影響を与えている)。そのうえで、これまでの我が国の学校教育の財産を土台に、子ども達をめぐる家庭環境や情報環境の変化を踏まえ、小学校低学年から高等学校(「現代の国語」「論理国語」等)に至るまで、語彙の確実な習得や情報と情報の関係性(共通-相違、原因-結果、具体-抽象)の理解等教科書の内容を正確に理解するための学びを重視している。また、「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の実現のための授業改善を学習指導要領の総則に規定したのは、プレゼンやディベートといった授業方法の刷新自体を目的としたものではない。今回の改訂においては、全ての高校生が、日本史と世界史の垣根を取り払い、近代化、大衆化、グローバル化といった歴史の転換に着目しながら、自分事として近現代史を学び、考える「歴史総合」という新しい科目が創設された【資料2】。歴史を因果関係や相互作用、比較で捉えるといった歴史的な見方・考え方を働かせて考える学びにおいては、例えば、大正デモクラシー=善、戦争への道=悪、といった単純な二元論を記憶するのでは通用しない。大正デモクラシーから戦争への道は大衆化におけるポピュリズムという観点で連続しているという議論(例え未来社会を見据えた高校学習指導要領改訂と高大接続改革を習得し、考え、表現する力」、「対話や協働を通じ、納得解を生み出そうとする態度」等であり、このような力を持った市民の厚みが未来社会の最大の鍵となっている。これらは、「書くことは考えること」という指導や「学び合い」「教え合い」の学校文化、教科教育研究や授業研究特集未来の学生を育む高校の改革〔その内容の取り扱い〕〇日本の美術等のアジアの文物等が欧米に与えた影響、欧米諸国によるアジアへの勢力拡張競争とアジアの経済・社会の仕組みの変容 等〇人々の政治的発言権の拡大と近代民主主義の基礎の成立、日本の立憲国家としての国際的地位向上に向けた取り組み、日本の近代化等がアジア諸民族の独立や近代化の運動に与えた影響、朝鮮半島・中国東北地方への勢力拡張 等〇アジア・アフリカ諸国による主体的な国家建設、西欧や東南アジアの地域連携や経済成長と冷戦との関わり 等〇民族対立や武装集団によるテロ等地域紛争の多様化、ODAやPKOを通じた日本の国際社会における役割 等〇国際連盟の成立や軍縮条約の締結における日本の役割と国際的立場の変化、社会主義思想の広がり等がその後の世界に与えた影響、民主主義的風潮の形成と日本における政党内閣制の展開 等〇 世界恐慌による混乱、日本の政治体制や対外政策の変化、国際秩序の変容、第二次世界大戦の過程での米ソ対立、脱植民地化への萌芽、戦争が人類全体に惨禍を及ぼしたことと平和で民主的な国際社会を実現することの重要性 等歴史の大きな変化に着目し、単元ごとに問いを立て、資料を活用しながら歴史の学び方を習得※ 生徒が歴史を豊かに学べるよう、歴史上の用語を削減する規定は設けない。

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