カレッジマネジメント213号
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14リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018ば、筒井清忠『戦前日本のポピュリズム』(中公新書))に接し、戦争への道に加担したのは、軍人だけではなく、倒閣のために政党政治を内側から崩壊させた政党人、革新官僚、メディア、そしてかつては大正デモクラシーを支えた国民自身だと捉えるならば、歴史は今につながる自分事の課題であることに気づく。今回の改訂は、このような「気付き」の大事さを伝えてきた我が国の歴史教育の思いを可視化したものであり、単元という内容のまとまりのなかで毎回の授業を目の前の子ども達の状況に応じて組み立て、内容を重点化したり適切な「問」を設定したりすることこそが、アクティブ・ラーニングの視点に基づく授業改善そのものである。さらに、この読解力や思考力重視の教育課程の改善は、大学入試改革と二人三脚で進められている。新井紀子教授が開発しているAI「東ロボくん」が最も得意なのは世界史の五肢択一式試験。ウィキペディアを全部記憶すれば五肢から一つ正解を導き出すことができる。五肢択一式問題に対応するために知識を習得するだけでは、AIに及ばない。だからといって、AI時代において知識は不要なのではない。概念を軸に知識を体系的に理解して考え、自分なりに表現することが求められており、だからこそ2020年度から実施される「大学入学共通テスト」には、国語と数学で記述式問題を導入することとしている。そのモデル問題や試行問題では、国語において、駐車場使用契約書という抽象的なルールと個別具体の事例を示し、情報と情報の関係性を的確に捉え、考え、文章で表現する力を試す記述式問題が出題された【資料3】。数学では、Tシャツの売り上げの最大化について二次関数を使って考えさせている。他方、「学びの基礎診断」は、大学入試に依存しない高校教育固有の質の保証の確保と学びのインセンティブを創り出すために、義務教育段階の学習内容も含めた基礎学力の習得状況を評価するものであり、2019年度からスタートする。【資料3】記述式のモデル問題例【国語】大問全体の出題の狙い論理が明確な「契約書」という実社会との関わりが深い文章を題材とする言語活動の場を設定することにより、テクスト(情報) を場面の中で的確に読み取る力、及び設問中の条件として示された目的等に応じて表現する力を問うた。テクスト(情報)の内容を構造的に理解し、対立する主張(原パークの主張とサユリさんの反論)をその根拠と共に分析・評価し、適切な情報を用いてその結論を書く問題である。具体的には、契約書から、自分の主張(サユリさんへのアドバイス)の根拠となるテクスト(情報)を読み取り、その根拠を適切に用いて、サユリさんの立場から自分の考えを書くことができる力を問う問題である。駐車場の使用契約書

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