カレッジマネジメント213号
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17リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018思考系問題が増加しているという。こうして高校入試問題は既に変化しつつあるとはいえ、筆者が問い合わせができた多くの県教委の高校教育課もそうした流れは一様に強調していた。その大阪府のお膝元である大阪市が水都国際中学・高等学校を来春開校する予定で、公設民営のIB認証校を標榜している。いわば探究学習が中心になる学校であるため、高校入試も英語は4技能、他4科目も活用型の問題が主になると思われる。大阪府立高校入試改革のさらに一歩先を行く学校だといえる。大阪府はそもそも代表的な公立優位の県で、北野高等学校をはじめとする「文理」科設置の公立有力10校に4500人余りが志願し優秀な生徒を選抜。次いで偏差値55前後の地元有力公立高校がプライオリティを持ち、私立は「併願校」の位置づけである※5。ただし変化の兆しもあって、カトリックの女子校2校、香里ヌヴェール学院中学校・高等学校とアサンプション国際中学校高等学校が共学化して、21世紀型スキルの教育内容を全面的に訴求して2年、各々、在籍生が定員の半分の状況から定員充足まで大幅に改善した。両校の学習内容の指導に当たっている石川一郎・香里ヌヴェール学院長によれば「大阪の高校入試は、国立大学である京大・阪大・神戸大の8000人と私関関同立1万6000人の合格を目指す層において選抜が成り立っているが、もう5年もすれば少子化によりその層においても倍率は消滅する。これまでのような入試のための学習では早晩成り立たなくなる」と指摘する。また、大阪女学院中学校・高等学校もIBコースを新設して志願者を大きく伸ばし※6、また京都では花園中学校・高等学校がスーパー禅コースという自前の国際的な資産を生かしたアプローチで急速に中学募集を伸ばしている。その大阪をはじめとした関西圏でも既述した通り、有力私大の附属人気は高いが、首都圏の高校入試でも早慶MARCH等の附属校人気が軒並み上昇している。特に法政大学中学高等学校、明治大学付属中野高等学校、明首都圏では附属校人気が軒並み上昇治大学付属中野八王子高等学校等は志願者及び倍率が急騰した。しかし、この層を併願する都立上位校の受験者数は当然高止まりとなっている※7。高校入試に詳しい進学研究会・進士高男氏の仮説は意外なものだった。即ち、共学化に伴う入試改革で大規模な推薦利用者増となった桐蔭高等学校に合格した、従来ではMARCH付属を受験しなかった層が有名大付属に応募、あるいは1校から複数受験に切り替えた、と推理する。ここに象徴されるのは、活用型の大学入試に大胆にシフトした学校改革に伴う進学校・桐蔭高等学校の入試改革が、一方で、大学新入試制度の「迂回路」としての大学附属志望を刺激している構図だ。実は首都圏、とりわけ東京は全国的に見て特別に私立の中学高校が多い。15歳人口の少子化が始まった1989年を境にして多くの東京私学は中学併設にシフトし、以来、東京の受験のメインストリームは中学である状況には変化はない。その中学受験で起こっているこの数年の変化も、しかし基本的には前記した高校入試事情と相似している。高校入試と異なり、中学入試は私学が主役のため、私学難関上位校の優位は変わらないが、この数年は有名大学付属の受験者数は目に見えて増加し、倍率も数年前と打って変わって3〜4倍の高倍率に高止まりしており、学習院中等科、明治大学付属中野八王子中学校、香蘭女学校、青山学院横浜英和中学等は志願者が増えている。いずれも、高校入試において桐蔭高等学校と附属銘柄校とを併願してヘッジするのと同じで、系列大学にも進学でき、一定の有名大学進学実績のある半附属校という属性が支持を受けている構図だといえよう。一方で、大阪の香里ヌヴェール学院等の探求型、21世紀スキル型の学校の存在は大阪ではまだ小さな波だが、東京の中学入試では極めて大きな波となっている。その代表格は広尾学園中学校・高等学校であり、そのあまりの急難化を受けて、受け皿化している三田国際学園中学校・高等学校(広尾学園元理事長が学園長)が高い人気を得ていることに象徴される。ただこの十数年をみる探究学習を軸に進学実績を上げる学校が存在特集未来の学生を育む高校の改革

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