カレッジマネジメント213号
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21変化や社会情勢の変化に適応していくということは、生きる上で必須とも言える能力である。つまり、変化の激しい予測困難な世界では、目の前で起こる変化にうろたえることなく突き進んでいく力が求められているのだ。これは、私達N高が目指している理想の人材像と近似している。N高では「創造力」に重きを置き、教養、思考力、実践力の三つの要素を教育方針として掲げているが、ここで言う創造力とは単に新しいモノを生み出す力ではない。自由な発想で物事を捉え、主体的な考えで課題に挑戦する能力が重要なのである。私達教育機関が子ども達に対してすべきことは無数にあるが、そのなかでも特に重要なのは社会との接点を作り、積極的に関わっていく機会の創出ではないだろうか。N高では、社会の課題を自らの行動で解決していく「プロジェクトN」や、現場の最前線で仕事について学ぶ「職業体験」等実践的な学びを重視したアクティブラーニング型のカリキュラムを多数用意している。このような新しいタイプの学習は、子ども達と社会との間に架け橋をつくり、互いが深く関わり合うことによって多様な考えを生む可能性を秘めている。そして、そのなかで社会課題を解決し、新しい価値が創造されれば社会に対しても正のインパクトが期待できる。これらは教科書学習のように知識の享受を主としているプログラムではなく、ある意味でゴールが存在しない。子ども達は、その時点で目指すべきマイルストーンを設定し、自分の考えに基づいて1つずつ課題を解決していく。だからこそ、歩みを止めることなく興味のある分野を徹底的に究めることができ、その過程であらゆるスキルを身につけていく深い学びが達成されるのである。教養や知識が得られるのは、何も教科書学習に限ったことではない。自分で考え、目的を持って行動することによって得る経験は、社会に出た後で必ず役に立つ。そして何より、社会との関わりを深める学び自らの興味が源泉となっている学びこそが、創造力を育むための重要な養分となり得るのである。主体的で対話的な深い学びは、子ども達の考える力をより高い次元まで引き上げる可能性を有しており、そこに限界はない。2018年2月に発足した「N高起業部」は、先述のプロジェクト学習「プロジェクトN」がより高次元で発展したものであり、高校生のうちに「起業」に取り組むという新たな挑戦でもある。情報技術の発達で、欲しい情報は誰でも手に入るようになり、年齢や世代によって得られる情報の質そのものにほとんど差はなくなってきている。これまで当たり前のように存在していた「高校生だから」という足かせは現代においてもはや必要ない。誰もが自分の好きな道で輝ける。そんな未来はもう近くまで来ている。今後は多くの業界で「多様性」というキーワードがますます重要な意味を持つのではないかと考えている。これは裏を返せば、多様性に目を向けなければさらなる発展が望めないということでもある。一人ひとりの個性や考え方、教育機関そのもののあり方、これら全てにおいて多様性を認めることが教育の可能性を広げる最適解ではないだろうか。子ども達には多様な価値観を持って何事にも果敢に挑戦するクセをつけてほしい。そして、子ども達の未来を切り拓くためにしてあげられる最善のことは何か。教育者は常に自問し、実行し続けなければならない。子ども達が高校生として学べる期間は限られている。大学を始めとする高等教育機関には、高校在学中に生徒達が磨き上げた得意分野をさらに伸ばすような教育の仕組みや環境の構築が期待される。N高を巣立っていく生徒達が、一段階上のレイヤーでも人や社会と密接に繋がり、より自分らしく輝ける人材になることを願っている。多様性の受容リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018特集未来の学生を育む高校の改革N高等学校 伊計本校入学式の様子職業体験(刀鍛冶)の様子
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