カレッジマネジメント213号
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31特集未来の学生を育む高校の改革されている。つまり、生徒達は「目標に向かってチャレンジする中で自己の可能性を『発見』し、知識や技能を最大限に活用する『探究』的学習活動によって自立への歩みを進め、仲間とともに多様な活動に取り組み全力でやり遂げた『感動』を分かち合い、自己有用感をはぐくみたくましく生きる『自信』を獲得」することを何度も繰り返しながら、主体的に自己の確立・夢の実現に向けて努力する生徒に育っていくことが想定されている(教育センター附属高Webページより)。こうした学びと成長のスパイラルを基礎に置きながら、同校が創設以来特に重視してきたのが、実生活において正解が一つでない問題について考え、課題解決につなげていく力、つまりは「PISA型学力」の育成だ。センター附属高の文脈で言い換えれば「探究力」だと喜多校長は述べる。そのための中核を担ってきた科目が「探究ナビ」だ。「探究ナビ」が柱となって、その他の教科にもつながっていくカリキュラム構成になっているという。それでは、「探究ナビ」とは具体的にどのような目標と内容を備えた科目なのか。教育センター附属高は、文部科学省の教育課程特例校に指定されており、いわゆる「総合的な学習の時間」の代わりに、人文・社会・自然等の各分野を融合した単元で構成した科目として「探究ナビ」を独自に開発・実践してきた。単なる座学ではなく、「知識・技能を活用する学習」や「探究活動を行う学習」を行い、「他者や社会と関わる力」や「適切に表現する力」の育成を目指すものだ。冒頭でも触れた通り、新学習指導要領では「総合的な探究の時間」が設けられ、実社会や自己との関わりの中で課題を発見し解決に向けて探究活動を行っていくことが求められることになるが、教育センター附属高の試みはそれを先取りしてきたものだったといってよい。そもそも同校で開始された「探究ナビ」は、日本全国でPISA型学力の育成が遅れてきていることが認識される中、大阪府において、教育センター独自で開発してきた手法や収集してきた情報を活用しながら同校で「新たな学び」を実践しようとした取り組みが結実したものだ。教育センターとの連携を活かし、指導主事に教科会議や実際の授業にも入ってもらいながら教科の開発や運営が進められてきた。「探究ナビ」は、1年生から3年生まで各学年2単位で実施されている。図2にある通り、3カ年を通して「自らの進路を切り拓くことのできる人材の育成」を目標に掲げており、キャリア教育の機能も含まれている。学年ごとのテーマを追ってみると、「人とつながる(1年生)」「社会とつながる(2年生)」「未来を拓く(3年生)」というように、自己理解から社会理解へ、そして社会に対する働きかけへと、生徒の学びが段階的・発展的に拡張するよう設計されていることがわかる。さらに、各学年における学習到達目標には、前出の「学びのクローバー」に示された「発見―探究―感動―自信」が盛り込まれていて、3カ年を通してスパイラル的に学びが深化していくように構造化されている。こうした学習目標を実現するための具体的な教育活動(プログラム)は多岐にわたる。探究科主任を務める酒井教諭は、3年間の学びを次のように説明する。まず、学びが深まっていくための基盤形成の仕掛けとして、集団づくりから始めるという。「クラス開き」と呼ぶ活動だ。2時間(50分×2)を3回行い、安心して話し合える環境づくりが丁寧に行われる。1年間のアイスブレイクとして機能していて、生徒からも楽しかったと好評だそうだ。こうして1年生の段階では、話し合いを深めていくためのコミュニケーション能力の育成を軸に学びの基礎を固めつつ、防災に関する学びや、「仕事調べ」での職業観の涵養が図られていく。さらに、「演劇プログラム」を通して日常のリクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018発見自信探究感動図1 学びのクローバー「探究ナビ」による学び

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