カレッジマネジメント213号
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36リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018よって、到達すべき目標、望ましいゴールを示し生徒と共有することで、生徒が自分で目標に到達するための努力を始めることが意図されている。高校1年生にルーブリックを示すと、何が良くて何が悪いのかが分かることを喜ぶという。中学校時代に、何が良くて何が悪いのかが分からないまま評価されてきたためである。評価基準を生徒と共有することの重要性を、「評価について生徒も納得できる形になる。評価基準が外から与えられるだけでなく、教師が言わなくても、生徒自身がルーブリックを内在化して、意識して活動することにつながる」と香山校長は話す。そして、生徒は、ルーブリックへの到達をエビデンスを持って示すことが求められるため、そのことがポートフォリオの活用につながっているのである。学校としてどんな生徒を育てたいのかを、目標準拠評価とポートフォリオ評価で具体化しているのである。この取り組みでは、教師は生徒の大量のポートフォリオや記述式回答を確認することになるため、生徒数の多い学校では難しいかもしれない。小規模校の特性が利点として活かされているのである。「学力の三要素」のうち2番目の項目である「思考力・判断力・表現力等の能力」に対する具体的な取り組みの一つが、地域と学校が一体となって、地域課題を通じて生徒を育てる「閑谷學」総合的な学習の時間による探究学習「閑谷學」である(図3)。香山校長は、2003年に総合的な学習の時間の導入された当時から、それまでの在籍校でこの時間を使った積極的な取り組みを進めてきた。和気閑谷高校でも、それまでの取り組みを踏まえつつ、香山校長の赴任後に、「閑谷學」が現在のかたちに設計された。この「閑谷學」では、生徒が和気町の中にある様々な地域課題に対して、1、2年生はグループワークで、3年生は個人として取り組む。探究学習の学びを通して、生徒が自分のあり方、生き方を見直すものとして位置づけており、キャリア教育の本質を学ぶものと位置づけている。 とはいえ、地域の課題に生徒だけで取り組むことはできない。例えば、駅に階段しかなく高齢者にはホームの移動が困難ではないか、という課題を生徒が発見したとき、生徒や学校だけでなく、鉄道会社や自治体と一緒になってそのあり方を考えることが必要となる。しかし、小規模校であるため教員数は少なく、一人ひとりの生徒の課題を細かくサポートすることは難しい。そこで、「閑谷學」を進めるに当たり、地域の行政や商工会に協力を求めた。さらに、和気町との協議により、地域活性化のための総務省の仕組みである地域おこし協力隊を、各学年1人ずつ校内に配置し、生徒の探究学習をコーディネートする体制を構築した。生徒+教員+地域の行政・企業等+地域おこし協力隊という協力体制を構築し、地域と学校が一体となって、生徒が地域課題に取り組むことで、思考し、判断し、表現することを通じて、実践的に学ぶ環境を整備したのである。この探究学習を通じて、地元の大工、材木店等の地域の人たちと一緒に駅前の銀行跡地をコミュニティスペースに再開発する事業や、地元企業とのコラボレーションにより、高校生の提案から地域名産の高校魅力化支援(まち経営課)・地域おこし協力隊派遣・地域おこし企業人派遣(教育委員会)・ふるさと教員派遣・放課後学習支援協業生徒・地域への誇りと愛着・課題発見&解決能力・主体的な社会参画意欲∥世界のどこにいてもコミュニティの課題を解決できる人材閑谷學支援・学習の場の提供・企業、社会人講師派遣・インターンシップ受け入れ高校魅力化支援・魅力化推進協議会参画生徒会主催ボランティア活動・閑谷学校ガイド・学童保育・エコキャップ日本で初めての庶民のための郷校・コミュニティのリーダー育成1670年開校閑谷學支援・学習機会の提供・企業、社会人講師派遣閑谷學・特別活動支援・講師としての協力高校魅力化支援・魅力化推進協議会参画高校生による放課後学習支援英語・論語出前授業イベントでのボランティア図3 和気閑谷高校と地域の協業図地域との連携による教育活動和気閑谷高校和気町役場和気町商工会和気駅前商店会町民企業閑谷学校小学校中学校イベントでのボランティア商店街活性化提案地域の担い手グローカル人財
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