カレッジマネジメント213号
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40現在、中央教育審議会大学分科会におかれた将来構想部会(以下では「将来構想部会」という)では2040年を見据えた大学教育の将来構想を審議しており、年内に答申をまとめようとしています。筆者はこの部会に置かれた制度・教育改革ワーキンググループ(以下では「ワーキング」という)の審議に参加しています。執筆時現在、ワーキングでは「制度・教育改革ワーキンググループ 審議まとめ(案)」(以下では「審議まとめ(案)」という)をまとめつつあります。本稿では、その審議を参考にしつつ、大学関係者の間で「わかりにくい」という定評のある「教学マネジメント」と、その必要性や策定が議論されている「教学マネジメント指針」について述べることにします。ワーキングでは、中教審への諮問事項のうち①各高等教育機関の機能の強化に向け早急に取り組むべき方策と、②変化への対応や価値の 創造を実現するための学修の質の向上に向けた制度等の在り方について審議しています。このうち①の具体的内容が1)教育課程の改善、指導方法の改善等の学修の質保証 、2)学修成果の可視化と情報公開の2つで、全て教学マネジメントに関わるものです。将来構想部会が6月28日に公表した「今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめ」(以下「中間まとめ」という)では、「全学的な内部質保証を促進するため、教学面での改善・改革に係る取り組みを促す等、国として教学マネジメントの確立を一層進める必要がある。教学マネジメントの確立に当たっては、個別の教育改革に係る手法を効果的なぜ「教学マネジメント」が必要とされるのかに活用しつつ、各大学が学長のリーダーシップの下で、『三つの方針(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)』に基づく体系的で組織的な大学教育を、学位を与える課程(プログラム)共通の考え方や尺度(アセスメント・ポリシー)を踏まえた適切なPDCA等点検・評価を通じた不断の改善に取り組むことが必要である」(下線=筆者)という方向性を示しています。言い換えれば、3つのポリシーに基づいた大学教育が実現できているかをアセスメント・ポリシー(以下では「ASP」という)を活用してPDCAができているかということを、教学マネジメントと捉えています。3つのポリシーを含め、シラバスやGPAやFDやこれまで個々にばらばらに導入されてきたものを、大学として統合的に運用することで教育・学習の質向上を組織として図ることを求めるもの、といえるかもしれません。これまでの改革で道具は揃ったので、それをもっと組織として効果的に使う段階にきたといえます。最終的な「審議まとめ」でもこのトーンになるでしょう。教学マネジメントが近年重視されてきたのは、高等教育の質保証がグローバル化の進行とともに国際的に共通課題となり、学修成果をどのようにあげているかが問われるようになってきたことによります。国内的には、大学教育の改革が遅々として進んでいないという産業界や政界等からの批判(例えば「骨太の方針2018」)を受けた対応ということでしょう。ワーキングの「審議まとめ(案)」の中には、その進んでいない改革の状況が具体的数字として挙げられています。例えばシラバスです。ほとんどの大学でシラバスに基づいて学生に授業内容等が明示されてはいても、記載内容のリクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 20182040年に向けた将来構想の行方 Vol.2教学マネジメントの指針策定の背景と今後の方向性関西国際大学 学長濱名 篤
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