カレッジマネジメント213号
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41ばらつきが大きく、準備学修に必要な学修時間の目安は、2012年の約9%から2015年の約23%に上昇したに留まっています。ナンバリング等の授業科目の教育課程内の位置付けや水準を表す数字や記号の記載は不十分で(約 17%(2012年)→約 31%(2015年))、人材養成の目的または学位授与の方針と当該授業科目の関連(約 23%(2014年)→約 32%(2015年))等の項目は緩やかに進展しつつあるものの、依然として低い水準に留まっています。つまり、DPやCPに準拠した組織的な教育課程が展開されているとはみなせない現状だということです。学修成果の評価に関してはGPAについての数字が挙げられています。2011年にGPAを導入している大学が約62%だったのが、2015年には約85%と大多数になりました。しかし、GPAには国際的にも統一的な運用方法が確立しているわけではなく、わが国においても、その算出方法には定まったルールがありません。5点満点で運用している大学もあれば、放棄した科目はGPAの計算から省くというGPAの趣旨(放棄したことの履修者責任)を理解していないと思われる大学もあります。現時点で進級・卒業判定の基準に活用している大学は低水準に留まる等、運用実態も様々です。つまり、多くの大学がGPAを導入していることだけで、学修成果の質保証ができているとはいえないということです。さて、教学マネジメントという課題が高等教育関係者に頻繁に取り上げられるようになったのは、中教審のいわゆる「質的転換答申(新たな未来を築くための学士課程教育の質的転換に向けて)」(2012年8月)において、大学に対し「速やかに取り組むことが求められる」ことのひとつとして、教学マネジメントを位置づけたことが契機です。具体的には、①学長を中心とする、副学長・学長補佐・学部長及び専門的スタッフ等がチームを構成し【学内組織・ガバナンスの整備】、②大学としての学位授与の方針(全学のディプロマ・ポリシー)の下で、学生の求められる能力をプログラムとしての学士課程教育を通じていかに育成するか(学生が修得する124単位を一括りとする学位プログラム単位でのディプロマ・ポリシー)を明示し【教育の到達目標の明示】、③個々の授業科目が能力養成のどの部分を担うのかを(教員間の議論を通じて)共有し、他の授業科目と連携し関連し合いながら組織的な教育を展開する(学位プログラムとしてのカリキュラム・ポリシー)【内容・方法とその共有・分担】、④プログラム共通の考え方や尺度(ASP)に則った成果の評価を行い【点検・評価】、⑤その結果を踏まえたプログラムの改善・進化という一連の改革サイクルが機能する教学マネジメントの確立を図る【改善サイクル】。このように記述されています(括弧内【 】は筆者が挿入)。この言葉が関係者の間でうまく定着してこなかったのは、内容がうまく理解されていないからかもしれません。マネジメントを「経営」と訳すとイメージが企業活動とつなげて考える向きもあるかもしれませんが、ドラッガー流に言えば“組織や集団の機能(潜在的能力)を最大化する”ということになります。教育や学習の場である大学の可能性を最大化するための活動が教学マネジメントの目的と考えてみてはいかがでしょうか。リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018図1 教学マネジメントの確立DP設定(到達目標)個性化 (多様化)標準化 (均一化)CP設定(教育内容方法)AP設定(入学者選抜の方針)ASP設定改善サイクルの実行学内組織・ガバナンスの整備学修成果の可視化IR「大学教育の質に係る情報」公表認証評価内部質保証建学の精神・教育方針質保証情報公表・義務化教学マネジメント指針2040年に向けた将来構想の行方 Vol.2
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