カレッジマネジメント213号
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49リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018市場の特徴は、終身雇用制にあり、とりわけ大卒者は安定した収入を得ることができたため、定額返還制度によって、明確で着実な返還プランも立てやすかった。しかし、非正規雇用の増加や、大卒者でも3人に1人が3年以内に離職する(厚生労働省「新規学卒者の離職状況」)という不安定な労働市場では、収入も不安定になり、従来の定額型返還プランだけでは返還に困難な者が多数生じることとなった。また、新たに学生支援を必要とする問題として、学生の経済的要因による休学・中退があげられる。文部科学省や私達の調査で、学生の中退の理由として経済的要因が最も高い割合となり、これに対処するための学生への経済的支援の必要性が認識されるようになった。(これについては、本誌202号の特集「経済的要因による学生の休学と中退」を参照頂ければ幸いである)。これらの社会の変化が新しい学生支援制度創設の背景である。「新しい経済政策パッケージ」の内容は以下のように給付型奨学金の大幅な拡充にあり、今後の学生支援にも多大な影響を与えるものである。また、2017年度創設された人生百年時代構想会議でもこの給付型奨学金は議論され中間報告は12月19日に出されたが、内容は「パッケージ」と変わりはない。これらを受けて、2018年1月30日には具体的な制度設計を行う文部科学省の専門家会議が設置され、6月14日に「高等教育の負担軽減の具体的方策について (報告)」を出した。また、ほぼ同時期に骨太の方針でも基本的な骨格が示された。その主な内容は、パッケージとその後の閣議決定あるいは専門家会議報告でやや相違があるが、消費税の10%への増税を前提に、毎年約8000億円を投じて、住民税非課税世帯の大学・短大・高専・専門学校の学生新しい経済政策パッケージ020406080100~462万円487~650万円662~812万円825~1037万円1062万円以上必要ない収入が高すぎた成績の基準に達しなかったよく知らなかったから将来、返済できるか不安(%)8.923.631.632.142.015.06.036.01.011.98.24.543.39.75.241.97.521.711.643.93.35.942.441.11.72040年に向けた将来構想の行方 Vol.2(注)回答者は、進学者を持つ高卒者の保護者のうち、日本学生支援機構奨学金を申請しなかった者。(出典)2016年「高卒保護者調査」(平成28年度文部科学省先導的大学改革推進委託事業「家庭の経済状況・社会状況に関する実態把握・分析及び学生等への経済的支援の在り方に関する調査研究」東京大学)。図 2 奨学金を申請しなかった理由

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