カレッジマネジメント213号
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53リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018れています。同様の考えで、2014年度文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」事業(以下、SGU)では、「ダブルチャレンジ制度」を創設しました。各学部の学びに加え、世界で学ぶ「インターナショナルプログラム」、他分野を学ぶ「副専攻プログラム」、実社会を経験する「ハンズオン・ラーニング・プログラム」の3つから1つを選択します。クリエイションやアイデアというのは、異なった分野の知識や知恵が融合するときにしか生まれません。特にハンズオン・ラーニングは、実社会でアクティブラーニングをしながら、何が問題かを考えさせる学びで、コミュニケーション能力も身につきます。2016年にはハンズオン・ラーニングセンターを立ち上げ、全学にわたってこの科目を増やしています。これが一番の肝です。これからはコンピテンシーレベルで能力をつけようというのが本学の大方針です。このほかSGUでは、2017年度に大学院副専攻「国連・外交コース」も新設しました。2014年現在、国際機関で働く日本人は全体の3%に過ぎません。国際公共分野の人材育成は本学のミッションなので、元ドイツ大使の神余隆博副学長(当時)のもと、国連・国際機関の職員養成に特化した本格的なプログラムをスタートしました。国連等職員は修士以上の学位が必要なので、これを大学院で育てます。「Kwansei Grand Challenge 2039」今年の3月、創立150周年を迎える2039年に向けた「Kwansei Grand Challenge 2039」(以下、グランドチャレンジ)を策定しました。2039年の世界・日本の未来予測を行い、超長期ビジョン(関西学院のありたい姿)と、それを実現するための前半10年間の方向性を示した長期戦略から成るものです。特徴は2つあります。1つは、卒業生がビジネスを通じて世界へ奉仕(Mastery for Service)することで「真に豊かな人生」を送れるよう、「質の高い就労」を掲げた点です。ボローニャプロセスのキーコンピテンシー、エンプロイアビリティー(就労能力)が念頭にあります。私立大学は学生を希望の仕事に就労させなければ存在意義がありません。本学では、グランドチャレンジの全てが建学の精神やミッションと繋がっています。若手職員には、どこの大学でもできるものではないということを、ぜひ誇りに思って欲しいと言っています。もう1つの特徴は、未来予測として、人口減とAIの発達、関西経済の地盤沈下を挙げた点です。経済学的に考えますと、AIの発達で産業構造も人材需要も大きく変わります。メガバンク3行が3万人規模の人員削減を発表しました。定型的な仕事はAIに任せ、人は高度な仕事をすることで、生産人口の減少も補えると私は考えています。これから必要なのは、社会科学系も含めたAIを使いこなせる人材。この人材を育てられるかが本学にとって極めて重要です。そこで来年度から、大手IT企業と共同で、文系AI活用人材を育成するプログラムを開講します。「日本の大学、第3の危機」を乗り越えるための改革推進2014年の学長就任から5年目を迎えました。就任時に危機感として大きかったのは、改革に対する後ろ向きな姿勢が全学の教職員に感じられたことです。就任時の挨拶で「日本の大学、3つの危機」と述べましたが、第1の危機は1969年のエリートからマスへ、第2の危機は2009年のユニバーサル化、第3の危機は2040年に来る18歳人口の激減です。そのためにも、SGUに採択されることが私にとっては至上命令でした。SGUが採択され、とにかく3年間はグローバル化の推進に注力しました。関学はもともとグローバルな大学なので、まずはそれを取り戻すために力を入れました。おかげさまで、この間にグローバル教育は飛躍的に充実してきました。二期目からは「質の高い就労」の取り組みに力を入れています。AIを使いこなし、ハンズオン・ラーニングでコンピテンシーの能力を養っていけば、十分に世界が必要とする人材を育成していけます。創立150年に向けて、全てを「真に豊かな人生」を送るための「質の高い就労」に収斂させていきたいと考えています。

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