カレッジマネジメント213号
55/74

55リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018快だ。「入学希望理由書」は面接資料にもなるが、予め提示された書式に600〜800文字程度の文章で自己PRが必要となる。小論文もそうだが、かなりの文章力が必要である。「保育現場では日々の連絡帳をはじめ、文章や会話での保護者とのコミュニケーションが非常に多いものです。子どもが好きなのは大前提ですが、それだけでは務まらないのが現実。入学時点で全てを持っている必要はありませんが、冷静に必要なスキルやスタンスを棚卸し、ある程度の能力やそれなりの課題をこなす意欲が必要なのは自明です」。だからこそ、高校までにどこまでその適性を見いだし伸ばしてきたのかを問うのだという。まとめると、鎌倉女子が「保育者適性」と決めた要素と評価方法・評価配分は図のようになるだろう。特に評価配分の大きい面接では、「学外実習に出せるか」という観点で受験生を評価していく。現場に即した感覚値を、エビデンスに即した評価に加えることで、よりマッチング度合の高い人財を獲得したいという。企業の採用に近い選抜制度と言えるだろう。次に、特徴2点目の「併願可」についてである。こうした入試は専願を想定しそうであるが、今回は他短大・四大との併願を可とすることでより学募集設計を健全化する総合型選抜メッセージですから、本学が何を重視し何を評価するのか、今回で言えば何を適性と考えているのかを示して、それに合致した人に入学してほしいと思っています」。同時に今回の改革は短期大学教育と入学者選抜に一石を投じる意義も大きいであろう。とかく大学と専門学校の狭間で存在価値議論にさらされやすい短大で、他校種との差別化のため、短大ならではの総合型選抜への脱皮が必要なのであろう。学力の3要素をお題目として捉えず自校教育に当てはめた時、初めてその具体化ができるのではないか。この学校にとって思考力とは、判断力とは、表現力とは何を指すのか。その具体化はベースとなる教育から導き出されるはずである。職業教育であればより現場に即した因数分解になるであろう。そのうち何をどこまで入試時点で評価するのか。議論し認識を揃えていくプロセス設計や体制作りは当然だが、見据えているものが何なのかを明確にしなければ、検討が徒労に終わる可能性もある。その点、今回の事例は1つの形を提示しているように思われる。専門職校種等の職業教育議論も盛んな今、職業適性を総合型選抜に取り入れた意義は大きい。(本誌 鹿島 梓)力の高い層を取り込める可能性を見据えた。「この入試は全入試の中で最も早くに開始します。併願にすることで、まずはチャレンジしたい」という層の背中を押す意味合いも大きい。なお、入学定員200名のうち、今回の入試に割り当てられた定員は3割を占める60名と、初年度にしては多い印象を受ける。その理由について河村氏は、「ベースとなるAO入試(自己推薦型)があったので、それを膨らませる形で設計しています」と言う。前述した選考プロセスも含め、AO入試(自己推薦型)の実績を継承しつつ、より多面的評価になるよう大学で成功したAO入試(高大接続重視型)の知見を活かし、短大教育の実態にフィットさせるかたちで誕生したのが今回の入試というわけだ。もともと短大の課題感で大きかったのは、募集設計上推薦入試に依存する状態になったことだったという。人が集まること自体は悪いことではないが、入試設計上は1つの方式に偏っているのはリスクである。しかし、短大入試の一般選抜で多く集めるのは現実的ではない。こうした状況を鑑み、河村氏は総合型選抜へのシフトは必須であると見ていたそうだ。河村氏は話す。「入試は社会への短期大学の教育を社会にメッセージする項目評価配点(%)評価する職業適性出願条件幼稚園教諭や保育士として就労を希望-目的意識授業出席状況が良好/明るく前向きに活動した実績-生活者としての規律性・主体性保健体育・芸術のいずれか1つの評定平均3.2以上-保育における基礎教科の評価出願書類入学希望理由書-基礎学力(知識・技能)・思考力・表現力/文章力選抜プロセス調査書20基礎学力(知識・技能)小論文30基礎学力(知識・技能)・思考力・表現力/文章力面接50思考力・判断力・表現力・主体性/コミュニケーション力図 評価要素・評価方法・配点の概観※選抜プロセスはそれぞれS・A・B・C・Dの5段階評価

元のページ  ../index.html#55

このブックを見る