カレッジマネジメント213号
6/74

6リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018高校教育(初等中等教育)では、知識基盤型社会、社会の情報化・グローバル化、そして人工知能(AI)に代表される技術革新等による変わる社会に対応した、戦後最大ともいわれる学校教育の改革が断行されている。そこでは、資質・能力(思考力・判断力・表現力等)の育成を全面に打ち出し、変わる社会に適応し、課題を発見して問題解決していく主体を育てるための主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の視点、カリキュラム・マネジメント等の推進を求めている。他方で、大学側から見て高大接続が死活問題となってきている。この意味が理解できるかどうかが、大学が高校教育の改革を他人事として傍観するか、我が事として関与するかの分かれ目となる。本稿は後者の立場である。近年の大学教育改革は、AP(アドミッション・ポリシー)・CP(カリキュラム・ポリシー)・DP(ディプロマ・ポリシー)という3つの方針に基づく学士課程教育の構造化を徹底的に進め、さらに、データやエビデンスをもとに、出口の学修成果を可視化した内部質保証の作業を進めている。この作業は、大学がどのような学生を受け入れ、4年間の学生の学びをどのように創り出し、最終的に学生にどのような知識を授け、資質・能力を育てるのか、大きくいって「学生の学びと成長」を教育プログラムとして実質化する取り組みと理解されるものである。かつてのように、授業や環境だけ提供して、あとは学生の自律性に任せて「どうぞご自由に」という教育ではない。大学がどのような学生を受け入れて、育てたいかという明確な方針を打ち立てて、それに基づいて教育を行い、その結果をアセスメントして、十分でないところは改善するべくPDCAサイクルを回す、そのような目標と評価をもとにした教育が目指されている。ところが、大学生のデータを収集して分かってきたことがある。それは、大学1年生前期の学習成績(GPA)が3年生、4年生の学習成績と相関がかなり高いことである。入学時にできる者がさらにできるようになり、入学時にできない者はできないまま4年後を迎える、簡単にいえばそんな結果である。もちろん、この見方に乗らない学生は存在するが、その割合は決して高くはない。しかも、この話は大学4年間の中だけで済まないことも分かってきた。高校2年生頃の学習力やキャリア意識、ひいてはそれらを支える資質・能力が、大学まで大きな影響を及ぼしていることが分かってきたからである。大学は入学してくる学生をゼロベースで育てられるわけではなく、高校まで良くも悪くも育ってきた学習力やキャリア意識、資質・能力に相当依存して、教育を行わなければならないと理解されるようになってきたのである。ここに、今日高大接続が数段ギアを上げて進められている根本的な理由がある。京都大学と河合塾が実施している通称「10年トランジ高校生で資質・能力の基盤は仕上がっている─「10年トランジション調査」の結果より学校法人桐蔭学園理事長代理桐蔭学園トランジションセンター所長・教授溝上慎一高校教育は生徒学生の資質・能力を育てる最後の主戦場──高大接続の観点からなぜ高大接続なのか高大接続

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る