カレッジマネジメント213号
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60リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあるといえるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取り組み事例を積極的に紹介していきたい。今回は、デザイン学部と看護学部の2学部からなり、その連携を目指す札幌市立大学で、中島秀之学長にお話を伺った。2006年開学の札幌市立大学は、分野の大きく異なる2学部からなる。札幌市中心部の桑園キャンパスには、札デザインと看護の連携・協働幌市立高等看護学院を前身とする看護学部がある。そこから車で約30分ほどの郊外にある芸術の森キャンパスには、札幌市立高等専門学校を前身とするデザイン学部がある。デザインと看護の連携・協働というユニークな取り組みは、決して簡単なものではない。2018年4月に就任した中島秀之学長は「私は3代目学長ですが、初代学長も前学長も、2つの学部の融合にたいへん苦労されてきた歴史があります」と言う。デザイン(Design)と看護(Nursing)が連携し、「人間重視」を根幹とする札幌市立大学独自の学びは、「D×N(ディー・バイ・エヌ)」と名づけられている。D×N連携科目は、1年次前期の必修科目「スタートアップ演習」で始まる。大学という「学びの場」とキャン3年次まで一貫した「D×N連携科目」パスの所在する「地域」について知るプロジェクト活動に、異なる分野を目指す両学部の学生が共に取り組むことで、お互いの発想に触れ、広い視野を持つことができる科目だ。3年次後期の必修科目である「学部連携演習」でも両学部合同で、課題解決の方法を知る演習を行う。自身の学部で専門教育を学んだうえで相互の専門に触れ、専門性を拡大し異分野の理解を深めることが意図されている。これらは開学当初からの教育課程だが、2017年度には、2年次前期で必修科目として地域の課題を見いだす「学部連携基礎論」が開講された。D×N連携科目が1年次から3年次まで円滑につながり、卒業時までに「連携の成果を実社会に生かす力」を身につける。「スタートアップ演習」を含む共通教育科目は、1年次から2年次前期まではデザイン学部及び大学本部のある芸術の森キャンパスで行われる。キャンパスが分散している不便さや困難もあるが、「一番難しいのは、方法論の違い」と中島学長は言う。教員の方法論も違うし、学生達の学び方も違う。札幌市立大学地域課題をテーマにデザインと看護の連携教育で人材育成中島秀之 理事長・学長

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