カレッジマネジメント213号
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61リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018「放っておいてひとりでに融合するということはない。機会を捉えてはくっつけるしかありません」。1年次から3年次までD×N連携科目を配し、しかも入学早々の「スタートアップ演習」から2学部の学生が共に学ぶのも「機会を捉えてはくっつける」の例で、学生だけでなく、教員の融合も狙っている。連携する各科目は必ず両学部の教員が共同で担当するからだ。教員同士の融合の機会としては、学内研究交流会もある。会場は2つのキャンパスを2年ごとに交互に使う。オープニングトークとして代表教員4名による研究発表のほかほぼ全教員によるポスターセッションを行う。「色々な意味でやり方が違う部分があり、こちらではこんなことをしているという情報交換が行われている。案外いいのかなと思うのは、一色で固まっている大学より、2つ異物がある方が、アウフヘーベンというか、向上するものが出てくる可能性が高いのではと思っています」(中島学長)。D×Nの融合については、地域に資D×NをITでつなぐれを作る、実装することができます。念願だったD×Nが、ITが入ることでやっと完成するかなと思っているところです」。ITの活用は、初代学長の時代から存在したコンセプトという。それが情報工学・人工知能(AI)の研究者である中島学長の就任によって、実現へと動き出そうとしている。「看護とデザインがあることをいつまでも『重荷』にせず、そろそろ『あるからできる』方にジャンプしたい。『他ではこんな発想、ないよね』と言えれば最高です」(中島学長)。そして中島学長は、2004年度から2015年度まで学長を務めた公立はこだて未来大学での事例を挙げた。「病院の患者さん向けのシステムで2005年度にグッドデザイン賞をもらっています。実際にどういうシステムがいいかというデザインをし、プログラムを作って患者さんに使ってもらうという実装をした。同じようなことが札幌市立大学でもできると思います」。一般的にデザインというと造形的なものをイメージしがちだが、もう少し本質的な「仕組み」づくりが、ここで学び・研究する「デザイン」だ。する研究の推進とその成果を社会に還元するため、「地域連携研究センター」を設け、学内での研究に基づき、製品化の見込みがあるものについては、特許事務に加え、知財アドバイザーによるコンサルテーション、企業とのマッチング及び見本市への出展を行う等サポートする仕組みを構築しており、医療機器の製品化といった成果も生みだしている。「車椅子クッションの新しいデザイン、使用済み注射針の廃棄容器のデザイン等、いくつかの成果はあります。でも、そういう個々のものをデザインするより、看護の仕組みをデザインしてほしい。デザインというのは、形のデザインだけでなくて仕組みのデザインも含んでいます。ですから例えば、看護の新しい仕組みのデザインは、まさに目指すところなのですが、なかなかそうはなってない」。そこで中島学長が計画しているのが、DとNをつなぐブリッジとしてITを導入することだ。「看護の中にいる人達が日頃感じている問題を伝えて、デザイン学部と一緒に解決法を見いだす。今までのD×Nはここでとどまっている感がありましたが、ITやAIが使えるようになると、実際にそ地域プロジェクトⅠ・Ⅱ・Ⅲ1年次2年次3年次4年次スタートアップ演習地域を知る学部連携基礎論学部連携演習地域の課題を見出す課題解決の方法を知る地域で提案する連携科目の流れ連携の成果を実社会に生かす力図表 D×N連携科目の流れ

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