カレッジマネジメント213号
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66日本でRPA(Robotic Process Automation)が注目され始めてから日はまだ浅いが、働き方改革や人手不足への対応という社会・経済的背景もあり、企業を中心に急速に普及しつつある。導入企業数は2018年内に5000社を超えると報じられている。ICT/ネット分野専門の市場調査機関である株式会社ミック経済研究所は、RPAソリューション市場の規模を、2017年度実績183.4億円から18年度見込み444億円、19年度は772億円と予測している(同社2018年6月11日付プレスリリース)。これらの数字からも、急激に立ち上がっていることが分かる。大企業が先行しているようだが、中小企業、地方自治体等へも広がりを見せ、国も2018年6月閣議決定の『未来投資戦略2018』の中で、デジタル・ガバメントの実現に向けた具体的施策の一つにAI・RPAを活用した業務改革を掲げるに至っている。大学関係者の間でも関心が高まりつつある。2018年7月に早稲田大学にて開催されたNPO法人実務能力認定機構(ACPA)主催のセミナー「大学における業務構造改革の実践と課題〜RPA活用の可能性〜」には、定員を上回る参加希望者があった。ただ、既に導入済みまたは導入を決めていると答えた参加者は2割に満たず、大学での本格的な検討・導入はこれからという状況のようである。2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行され、生産性を向上しつつ長時間労働をなくすための取り組みが求められるようになる。人手不足が進む中、働き甲斐のある職場づくりを進めることも必須の課題となる。RPAが有効な手段として定着し、さらに発展を続けるのか、それとも一時の熱狂で終わって幻滅期に入るのか予断を許さないが、大学にとっても生産性向上と働き方改革は、最も重要な経営課題の一つである。本稿では、RPAとは何か、その本質を含めて現時点での筆者の認識をまとめた上で、RPA活用による大学業務改革の可能性と課題について検討する。RPAの定義は一つに定まっているわけではないが、総務省はウェブサイトで、以下の通り説明している。「RPAはこれまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するものです。具体的には、ユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)など複数のアプリケーションを使用する業務プロセスをオートメーション化します」。(注1)金融機関や一般企業をはじめ多くの組織は、長い年月をかけてシステム化を進めてきた。それにより従業員の仕事は、創造的な企画・開発業務やきめ細やかな顧客対応業務等にシフトされることが期待されたが、実務の現場では依然として多くの人手による作業が存在する定型業務をソフトウエアロボットで自動化大学を強くする「大学経営改革」RPAを活用した大学業務改革の可能性と課題について考える吉武博通 公立大学法人首都大学東京 理事リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 201879幅広い業種で導入が急増するRPA
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