カレッジマネジメント213号
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67のが実情である。具体例を挙げると、申込書や請求書等、書式に記載された情報のシステムへの入力・登録、申請内容の確認や既存データとの突合、複数のシステムやファイルにまたがるデータの集計、それに基づく各種報告書の作成等であり、いずれも人間がPC操作を行いながら処理している業務である。これらの業務の自動化を目指すのがRPAである。ロボットに置き換える仕事自体は決して高度なものではなく、むしろ単純作業といえるものである。UiPath株式会社の上田 聡氏は、「一つひとつは洗練されたシステムでも、それを繋ぐのは人間の手作業であり、それは増える一方。この“ラストワンマイル”を自動化するのがRPA」と解説する。RPAテクノロジーズ株式会社の藤田 守氏も、「技術的な新しさは少なく、Excelのマクロに近いもの。費用対効果が見込めるものはシステム化が相応しいが、そこから取り残された作業こそRPAが効果を発揮する領域」と語る。総務省も前出のウェブサイトで、RPAは業務の粒度や優先順位、コストがROI(投資収益率)に見合わない等の観点からシステム化が見送られてきた手作業の業務プロセスを、作業の質を落とさず、比較的低コストかつ短期間で導入できるという特徴があるとした上で、適用業務として、帳簿入力や伝票作成、ダイレクトメールの発送業務、経費チェック、顧客データの管理、ERP・SFA(営業支援システム)へのデータ入力、定期的な情報収集等を挙げている。IT投資については、多額の費用をかけて新システムを導入したものの、使い勝手が悪い、効率化に繋がっていない等の声を聞くことも多い。これに対して、RPAは定型業務の自動化という性格もあり、投資費用が大幅に抑えられ、開発工期も短く、トライアンドエラーを繰り返しながら、より使い勝手の良いものに発展させていけるという利点があるとされている。しかも、人手に付き物のミスもなく、定型業務を正確かつ迅速に処理し、労務管理の必要もない。デジタル・レイバー(仮想知的労働者)と呼ばれる所以である。RPAを導入する場合、どの作業を自動化するかを決め、ニーズと目的に合ったRPAツールをどう選定するかそれに相応しいRPAツールを選び、そのツールを使ってソフトウエアロボット(以下ソフトロボ)を開発することになる。RPAツールとしては、BizRobo!(RPAテクノロジーズ)、WinActor(NTTデータ)、UiPath(米、創業ルーマニア)、Blue Prism(英)、Automation Anywhere(米)等が広く知られているが、これ以外にもそれぞれに強みや特色を持つツールがある。RPAツールは、ソフトロボをクライアントPC上で動かすクライアント型と、サーバーで集中管理するサーバー型に分類される。前者は業務担当者の側でPC作業を支援するという点で、アテンデッド・ロボットと呼ばれることもある。これに対して、後者は人を介することなく、毎日決まった時間に大量データ処理を行う等の用いられ方をすることから、アンアテンデッド・ロボットと呼ばれている。ニーズや目的に合ったツールを如何に選定するかは、RPA導入の大きなポイントになる。RPA導入を生産性向上に繋げた事例は数多く報告されているが、RPAツールを導入すれば即効果が現れるものではない。早くからRPA導入を進めてきた日本生命保険相互会社は、2018年7月開催の定時総代会において、RPAに関する質問に次の通り答えている(日本生命保険相互会社「第71回定時総代会議事要旨」の関係部分をそのまま引用)。 当社は、RPAの導入に、2014年から取り組んできたが、何度も失敗している。重要なことは2つあると考えており、1つ目は、人間が行う実務やノウハウの見える化である。実務を熟知していなければ、ロボットに置きかえようとしても、イレギュラーケースに対応できず失敗してしまう。2つ目は、実務の変化に応じてAIやロボットを育てること、また、そのAIやロボットを育てる人のマインドを醸成することである。例えば、当社ではRPAに「ロボ美」と名前を付け職員名簿にも載せることで、職員がロボットを仲間として育てるようになってきている。現在では、53台のロボットが各業務において活躍している。プロセス全体の見直しにより働き方が変わるリクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018
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