カレッジマネジメント213号
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69リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018り、期待通りの成果を得ることは難しい。業務改革の経験に乏しい大学にとっては、RPA導入に当たっての最大の関門になると思われる。そのためにも、業務改革がなぜ必要か、RPAとは何か、組織と個人に如何なるメリットをもたらすか等について、担当者の理解を得るまで根気強く説明する必要がある。加えて、基礎的な業務分析手法の習得を含めた研修を行う必要がある。次の課題は、PoC(Proof of Concept:概念実証)とも呼ばれているが、小規模な施行で効果を検証するステップである。ソフトロボが期待通りに動くかどうかを検証し、問題が見つかれば潰していかなければならない。この時点で効果が実感できれば、担当者の意欲も高まり、業務改革に向けた好循環が生まれるだろう。その上で、適用範囲を拡大し、RPA導入の効果をより広く行き渡らせる必要がある。本格稼動後の運用体制の構築も成否に関わる重要なポイントである。運用ルール、それに則った運用が行われているかのモニタリング、トラブル発生時の支援、業務処理小さな試行、運用体制の構築、大きく育てる方法変更に伴うソフトロボの修正等について、必要な体制を整えるとともに、これらを十分に周知させておかなければならない。ソフトロボは、24時間365日、正確かつ迅速に仕事を処理してくれるが、育てる気持ちがなければ、業務条件の変化に伴い、その機能を低下させていくだろう。その逆に、育てる意思があれば、AIとの連携を含めて、より大きな効果を生み出してくれる可能性もある。藤田氏は、「現場主導の取り組みによりデジタルレイバーを増やすことでオペレーションを強くする」と語り、上田氏は「全社員が関わることで、RPAはさらに大きな力を発揮する」とその可能性に期待を寄せる。RPA導入は、職員の仕事のあり方を中心に、大学業務を根本的に見直す好機である。Excelのマクロを使いこなせる職員がどれだけいるのか等、職員のIT活用能力を把握した上で、その強化を図ることも必要である。これらに関しては、ACPAが提供する「大学マネジメント・業務スキル基準表」が参考になる。内山博夫事務局長によると、2017年度以降提供件数が急増しているという。業務改革、働き方改革、職員育成等に対する大学の関心の高まりの表れでもある。この動きを実効ある改革にどう繋げられるか。トップの意思を含む大学の本気度が試されている。●執筆にあたり、本文中に登場した各氏に加え、ACPA理事長の深澤良彰早稲田大学理工学術院教授、早稲田大学アカデミックソリューションの櫻井勝人氏、三宅麻美氏に助言いただいたことに謝意を表したい。(注1)総務省ウェブサイト「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html・業務の流れ(処理の連なり)のうち、定型化され業務フローで記述できる業務を切り出してロボット化・導入時の業務分析→業務可視化→業務再設計が業務改革/高度化のポイント・ロボット導入後の工数削減効果は大(※)導入工期はRPA導入規模等の条件により異なる適用の範囲効果導入プロセス要員配置見直し●RPA適用の候補となる領域を選定する●当該領域の業務分析を行いロボット化の処理を選定する●本番稼働後RPA適用の効果測定を行う●RPA適用の効果により要員配置の見直しを行う●業務設計及びロボットの設計を行う●仕様に従いロボットを構築する●RPA適用後の業務の流れで運用テストを実施する対象領域選定業務分析対象処理選定業務設計ロボット構築運用テスト本番稼働効果測定3カ月程度(※)出典:(株)早稲田大学アカデミックソリューション大学業務におけるRPA適用例

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