カレッジマネジメント213号
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9リクルート カレッジマネジメント213 / Nov. - Dec. 2018できないだろう。生徒の大学進学後の、仕事・社会に出た後の、即ちトランジション後の成長を教育者として心から願わないとできるものではない。教育機関、教育者としての基本に戻らなければならない。大学に求めることは、全授業の中で成長を促すアクティブラーニング型授業を行うことである。特に、4年間の最も多くの時間を費やす講義科目の授業がアクティブラーニング型へと変わらないと、学生は変わらないだろう。質的転換答申(2012)以降、たしかにアクティブラーニングを実施する大学や教員は増えている。しかし、前項で示したように、変わる社会に向けての学生の学習力は変わらないか、むしろ落ちてきているとさえ見える状況である。考えられる原因は、例えばグループワークをさせても、その学習プロセスや学習の質に関心をはらい、細やかに指導する教員が多くないからである。言い換えれば、活動はさせてもそこから成長を促す指導がない。高校のイベント型キャリア教育に似た状況である。アクティブラーニング型授業が実施されていて、学生の授業外学習時間が伸びない実態も信じられないことである(『大学生白書2018』を参照)。国立教育政策研究所や全国大学生活協同組合連合会の最近の全国調査からも、同様の結果が示されている。まとめて、大学はアクティブラーニングを導入しても、学生を学び成長させることはできていないということである。高校も大学も、事情は違っても、相当追い込まれている。これまでのツケがまわった結果だとも言える。このタイミングでしっかり課題に取り組み現況を乗り越えてほしいと願っている。いく必要がある。求める第二のことは、キャリア教育である。高校時のキャリア意識は大学時のキャリア意識(二つのライフ)のみならず、学習への取り組み方や態度(主体的な学習態度)にも影響を及ぼす。学び成長する大学生のキャリア意識は高いことを、高大接続に繋げて理解することが重要である。中学や高校でキャリア教育を実施していない学校はないといっても過言ではない状況である。にも拘わらず、大学生のキャリア意識がこれだけ低い原因を考えると、問題は高校までのキャリア教育の質にあるとしか考えられない。イベントで終わらせず、生徒のキャリア意識を本気で促しているのかと問いたい状況である。少し考えてみてほしい。これだけ中学・高校でキャリア教育が実施されていながら、それでも将来のことを考えられなかった、デザインできなかった高校生が、大学生になってできるようになるのかと。答えは「否」である。データもそれを支持している。最近の大学生は授業参加に多くの時間を費やし、課題も多く課せられ、とにかく忙しい。空いた時間は、昔の学生と同様に、クラブ・サークル、アルバイトに精を出し、忙しさを加速させる。このような中、将来のことを考えたりデザインしたりすること等、よほど将来に動機づけられた学生でなければできるものではない。将来に動機づけられた学生でさえ、高校時のものから結構変わる。いわんや、である。アクティブラーニングもキャリア教育も、「大学受験が変わらなければ」等と言っている間は本気で推進することは【文献】溝上慎一 (責任編集) 京都大学高等教育研究開発推進センター・河合塾 (編) (2018). 高大接続の本質―「学校と社会をつなぐ調査」から見えてきた課題―学事出版溝上慎一 (2018). 大学生白書2018-いまの大学教育では学生を変えられない― 東信堂特集未来の学生を育む高校の改革28.414.428.328.925.4見通しあり・理解実行見通しあり・理解不実行見通しあり・不理解見通しなし11.730.532.422.70%2010年2013年2016年20%40%60%80%100%8.333.235.9(注)二つのライフ:Future Life (将来の見通し・目標を持っているかいないか)Daily Life (その目標を達成するために日々理解して実行しているか)図表3 キャリア意識(二つのライフ)の経年変化(2010-2016年)
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