カレッジマネジメント214号
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14リクルート カレッジマネジメント214 / Jan. - Feb. 2019まず、縦軸に多面的・総合的な評価となる指標として、「接触回数」を設定した。その入試制度における評価手法の数に、入試設計全体で何回受験生に接しているかという観点を加えた値だ。例えば、評価方法が「面接」「小論文」「グループワーク」「学力考査」の4つで、入試出願前にオープンキャンパス参加が1回以上必須であれば、4+1=5ptということになる。より多く受験生に接し、受験生を理解し、多面的に評価する観点を設定している入試が上の象限に来るため、マッチングの意味合いが強くなる。逆に下の象限に来るのは相対的に一面的評価の入試ということになるが、学力以外の要素を重視する入試も多分に含まれる。学力以外の要素のうち単体を重視して評価する場合も下の象限に含まれるためである。あくまで評価観点が複合的か単一的か、という観点による分類だ。入学後の教育への接続から、こうした方向性は決められて然るべきであろう。次に横軸である。横軸には入試全体に占める学力考査の比重を当てた。学力の3要素評価のうち、「知識・技能」に当たるであろう学力評価の比重が高い大学は右の象限に配置される。概ね、選抜性が高いタイプである。ただし、これは評価比重を公表していることが前提だ。2018年現在、学力の3要素を多面的・総合的に評価する入試を設計している大学であっても、評価の比重まで公表している大学は、残念ながら極めて少ない。大学入学者選抜実施要項の第2には、「APにおいて、抽象的な『求める学生像』だけでなく、入学志願者に高等学校段階までにどのような力を培うことを求めるのか、そうした力をどのような基準・方法によって評価するのか等について可能な限り具体的に示す。(中略)各大学の特色等に応じて具体的な評価方法や要素ごとの評価の重み付け等について検討の上、それぞれについて適切に評価するよう努める」とある。また、3ポリシーのガイドラインには、「入学者選抜において、APを具現化するためにどのような評価方法を多角的に活用するのか、それぞれの評価方法をどの程度の比重で扱うのか等を具体的に示すこと」と書かれており、評価の比重等についても検討しAPに反映するように努めることが示されている。どんな教育のためにどんな方法で何をどのくらい評価するのか、というのが整合性高く示されるのが理想であろうが、今回分析に際し様々な募集要項を読む中では、評価観点は示してあるところは増えてきているものの、評価の比重を明確に示すものは決して多くなかった。一方で現在の国公私立問わずAO推薦入試で圧倒的に多いのが「総合的に評価する」という文言である。特に書類審査が入る場合、この文言があることが多い。当然評価比重は言及されていない。また、国立大学はAO推薦型であっても学力考査として図2 入学者選抜改革の種別分類13245多面的・総合的評価一面的評価基礎学力重視(相対的に)学力以外の要素重視多高100%少低②マルチ選抜型①育成型④知識技能重視型③面接重視型縦軸:接触回数 横軸:学力考査配点比重
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