カレッジマネジメント214号
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20リクルート カレッジマネジメント214 / Jan. - Feb. 2019評価の重視という改革の趣旨を踏まえつつ受験生や高等学校教育への影響にかんがみて適切な比重とすること等も示している。さらに、参考例等においては、出願資格の水準を「例えばA2」以上に、認定試験による加点の英語全体の満点に占める比重を「例えば2割以上」にするとの例示を行った。また、今後の認定試験の実施・定着状況等を十分に検証しつつ、2024年度以降の入学者選抜における英語4技能評価が円滑かつ適切に実施されるよう、必要に応じ見直しを行うとしている。これらはあくまでもガイドラインであって、各大学・学部等において、それぞれの方針に基づき水準や比重を独自に設定したり、ガイドラインに基づきつつ独自の活用方法を工夫したりすることについては、各大学・学部等の主体的な判断に委ねられるものである。ここで、以上の基本方針等を策定する過程における議論について、付言しておきたい。今回の改革においては、当初から、グローバル化の進展に対応してコミュニケーション能力を含む総合評価を行うため、民間の資格・検定試験を活用するとの方向性が示され、国立大学協会もこれに賛同してきた。しかし、共通テストにおける英語試験を将来的に廃止し認定試験で代替するとの議論が行われる中で、2017年6月、国立大学協会としては、まだ認定試験の実績がない時点で判断するのは拙速であるとした上で、認定の基準や方法、学習指導要領との整合性、受験機会の公平性の担保、受験生の経済的負担の軽減、異なる認定試験の結果の公平な評価などの様々な課題を指摘し、文部科学省においてこれらの詳細をできるだけ早く示すよう要請してきた。一方で、各大学は入試方法の変更により入学志願者の準備に大きな影響を与えるときは2年程度前に予告・公表をすることとされており、国立大学協会としては、これに対応した各大学の検討に資するとともに、受験生に一定の見通しを持ち安心して準備に専念できるようにするとの観点から、その後明らかにされてきた情報を踏まえつつ議論を重ね、2017年11月の基本方針公表以後、逐次方針を明らかにしてきたところである。まだ、多くの課題が残っていることは認識しているが、今後、さらに具体的な準備が進められ、実績を積み重ねながら、適切なあり方が確立されることを期待している。③国語・数学の記述式問題基本方針では、思考力・判断力・表現力の評価を重視するため、共通テストに記述式問題が導入されたことに伴い、この記述式問題を含む国語及び数学を一般選抜の全受験生に課すこととした。国語の記述式問題については、その後、大学入試センターによる試行調査等を通じて問題構成等の見通しが明らかになり、段階別成績表示の方法についても小問に応じた重みづけを行ったうえで5段階の総合評価を行うとの方針が示されたことを踏まえ、ガイドラインでは、段階別成績表示の結果を点数化してマークシート式の得点に加点して活用することを基本とし、参考例等では、加点の最高点が国語全体の満点に占める割合を「例えば2割程度」とした。数学の記述式問題については、正誤のみの判定であり、マークシート式問題と一体で出題・配点されることから、ガイドラインにおいては、従来のマークシート式と同様の取り扱いとした。記述式問題については、国立大学協会として、共通テストにおいて導入する意義は理解しつつも、数十万人を対象とするテストにおける採点の基準や公平性の担保、段階別成績表示の方法等の課題を指摘してきたところであるが、試行調査を通じて明らかにされた内容を踏まえて逐次方針を策定してきたものである。ただし、いずれにしても共通テストで問うことのできる程度には限界があり、後述する通り、個別試験においてより高度な記述式試験を課すこととしている。基本方針においては、各大学が共通テストの活用に加え、個別試験についても、それぞれのアドミッション・ポリシーに基づきつつ、学力の3要素を多面的・総合的に評価するための改革を行うべきことを指摘している。①高度な記述式試験基本方針では、共通テストの記述式試験を活用するとと(2)一般選抜における個別試験について

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