カレッジマネジメント214号
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28リクルート カレッジマネジメント214 / Jan. - Feb. 2019文学部も総合型選抜を導入した学部の一つであるが、2020年度に文学部を外国語学部(仮称)に改組することを契機に、来年度の入試をさらに変革する。これまで3つの学科・専攻は別々に学生募集を行ってきたが、来年度からは学部で一括募集し、それを機会に総合型選抜にさらに力を入れていく。総合型選抜に注力するのは、学力の3要素をバランスよく見るうえで、最も可能性が高いと感じるためだという。経済学部の方式をまねて、一部アレンジを加えた。具体的には面接ではなく、内容とテーマを決めたプレゼンテーションを行わせる点、経済学部では、高校での学びの実績アピール型と、大学に入ってどのような勉強をしたいのかという学習計画アピール型に分けているが、新しい外国語学部ではこの2つを合わせて、西南を希望する理由を一つの論文として提出してもらうのが変更点である。そうして提出された論文自体が思考力・表現力の証であり、主体性は学習計画や高校までの実績で検証する。ただし、書類や論文だけではどの程度自分で本気に考えたかが分からないため、面接でプレゼンを課す。ほかの受験生のプレゼンも互いに聞き合い、そのあとのディスカッションを受験生同士でやってもらう。これまでの面接では、受験生は事前に覚えてきたことを言いがちだったが、こうした方式にすれば、質問する力を見ることができる。問題意識がないと良い質問はできないし、大学の授業においても文学部ではプレゼンをして議論をする機会も多く、高大接続の点でも意義は大きい。文学部の改組と入試改革の関係について尋ねたところ、文学部の改組と入試改革教育改革と連動した入試改革の議論当然のことながら改組、教育改革、入試改革は連動して議論されたという。先行して議論したのはカリキュラムだったが、連動して入試の議論になった。学部改組をするなら一括募集でやってみようということは最初に決まったが、それをどのように具現化するのかについては学部内で熱い議論が繰り広げられた。例えば、外国語学科英語専攻は一般入試での成績もよく、わざわざ変えるメリットは何かという議論も出たし、高校の英語科教員として勤める多くの卒業生の出身学科がなくなることや入試レベルが下がる懸念が示されたが、そうならないように設計すると話した。新たな総合型選抜で英語の4技能に優れた学生が入学してくることを見越して、学部教育の改革も議論している。言語教育センター長とも議論し、4技能を重視したカリキュラム、具体的にはネイティブ教員が担当する20名規模の1年生向けクラスを作るように準備している。藤本教授によると、外国語学部に改組する動機の一つが人事を柔軟にできることだという。3つの学科・専攻に分かれた12、12、8の人事枠でなく、外国語学部全体で32の人事枠を活用できれば、時代の変化や社会のニーズに柔軟に対応できる。経済学部の入試改革も、その背景には、経済学部の学生の学力や教育への危機感があった。数学等の基礎科目を教えている先生から学生の学力が落ちており、ゼミが成り立たなくなったという意見が出されていた。また、西南では入学時、卒業時にアンケートを取っているが、経済学部は、入学時の期待は高いが、卒業時の満足度は最も低く、長期的に競争力を落とすのではないかという危機感があった。何度もカリキュラム改革を試みたが、うまくいかなかった。そこで、今回、入試を変えることでほかを変えていくことにした。学生全員の底上げを一気に目指すのではなく、良い学生を取ってロールモデルに図2 経済学部と文学部の入試方式別の入学者割合2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年附属・系列・その他割合指定校推薦割合公募型推薦割合AO割合一般入試割合707572707170161036766612014319112159217911783166212716967656111276276234237675734239148142331422131331133222(%)(%)■経済学部■文学部

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