カレッジマネジメント214号
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31けられた。紙幅の関係で割愛したものも含めて、この間に北海道科学大学が成し遂げてきた改革は、北海道では初となるものも多く含まれている。これらの改革の実現に当たっては、現理事長である苫米地前学長の理念を受け止めたフォロワー達の奮闘が果たした役割が大であったことも触れねばならないだろう。苫米地理事長が浸透させた「北海道初、唯一」を狙うというコンセプトは、上述のものを含め様々なところに波及していった。その結実の一つが各学部のアドミッション・ポリシーである。全学部全学科において、求める人材像と学力の3要素(「知識、技能」「思考力、判断力、表現力」「主体性、多様性、協働性」)との対応が示され、人材像ごとに3要素における重要度の軽重が記号で分かりやすく表現されている(https://www.hus.ac.jp/academics_hus/amp/)。学力の3要素を考慮するのは個別入学者選抜改革に合致した流れだが、これを先取りして動けたのは、時間を尊ぶコンセプトが浸透していたことも大いに助けとなった。一般的に言って、各学部には各専門分野に根ざすアイデンティティがある。だからこそ、こうしたポリシー等の策定には対話を欠かすことはできない。これは筆者の推測の域を出ないが、検討委員会での検討に当たって、入試広報センターが「初を狙う」視点を持って取りまとめた原案が果たした役割は大きかったのではないだろうか。ところで、特に本特集との関連で言えば、取り上げねばならないのは、やはり「新ガリレオ入試」であろう。2016年度入試より、一部の学部における既存のAO入試を発展させるかたちでスタートした「新ガリレオ入試」は、多面的評価を取り入れることで、北海道科学大学とそこで真に学びたい学生をつなぎ出している(図2)。その具体的なステップはこうである。本稿では、2018年度実施(2019年度入学者対象)の新ガリレオ入試を例に説明しよう。この入試を受ける生徒は、新ガリレオセミナーを3回受けることになる。第1回目のセミナー(8月26日)では、全体のガイダンスを受けた後に、「講義」「集団面談」「個人面談」が行われる。ここでの内容や、次回セミナーまでに取り組む課題を踏まえつつ、第2回目が実施される。第2回目(9月2日)は、「基礎学力向上プログラム」と銘打った文章(レポート)の書き方に育てる入試としての「新ガリレオ入試」リクルート カレッジマネジメント214 / Jan. - Feb. 2019特集 入学者選抜 改革の現状合格14341735106119841662191330298888106入学出願許可エントリー2016年度2017年度2018年度2019年度050100150200250(人)年 度項 目2014年4月北海道科学大学に校名変更保健医療学部 看護学科、理学療法学科、診療放射線学科を新設2018年4月北海道薬科大学と統合し薬学部を開設年 度項 目2014年度入試一般入試[前期]及び大学入試センター利用入試[前期]において学部出願を学科出願(3学科併願可)に変更2016年度入試既設のAO入試に多面的評価を取り入れた新ガリレオ入試を追加2017年度入試指定校推薦入試の評定値の見直し2018年度入試全ての入試においてインターネット出願に一本化AO入試を新ガリレオ入試に一本化新ガリレオ入試に基礎学力試験を追加指定校推薦入試で口述試験を実施公募推薦入試で基礎学力試験を実施公募推薦入試で外部英語検定試験実績を加点工学部において一般入試[前期]、大学入試センター利用入試[前期]で合否判定を2科目から3科目に変更2019年度入試大学入試センター利用入試で外部英語検定試験実績を加点2021年度入試(予定)一般選抜出願者には、インターネット出願時に第一志望学科の志望動機を100文字程度(60文字以上)で記入することを出願要件とする。記入した「志望動機」は、大学での学修や社会での活動等へと接続させるため、入学後の学生面談で活用する予定。一般選抜においては、「調査書」の活動実績を得点化することはしないが、入学者受け入れ方針を踏まえた「志望動機」により、自ら学ぶ意欲を確認一般選抜における個別学力検査では、「知識・技能」に加えて「思考力・判断力・表現力」を評価する記述式の問題を出題(国語・数学)英語の4技能(「読む」「聞く」「話す」「書く」)を適切に評価するために、学校推薦型選抜、一般選抜において英語の外部検定試験を活用従来のセンター試験に代わる「大学入学共通テスト」の成績を利用した入学者選抜(大学入学共通テスト利用選抜)を実施し、択一式問題に加え記述式問題についても、合否判定に活用図1 校名変更・学部学科新設と主な入試制度の変更点図2 新ガリレオ入試(AO入試)の推移●校名変更・統合・学部学科新設●入試制度の変更
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