カレッジマネジメント214号
42/56
42リクルート カレッジマネジメント214 / Jan. - Feb. 2019大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあるといえるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取り組み事例を積極的に紹介していきたい。今回は、4学部の中にデジタルゲーム学科、健康スポーツ科学科等、ユニークな学科も擁する大阪電気通信大学で、大石利光学長にお話をうかがった。大阪電気通信大学の建学の精神について、「技術者の育成というよりは人間の育成」と話すのは、2016年度に就任「情報教育なら大阪電気通信大学」にした大石利光学長。「人間力と技術力を培い、社会に貢献する。それを実現するのが実学というベースです」。学長になって1年後、幹部の教職員を集めた合宿の場及び全学教授会で「『情報教育なら大阪電気通信大学』といわれる大学になろう」と語ったという。「全学部で情報教育を進化させる。AI・IoT時代の新たな実学を目指す」は、学園創立80周年(2021年)に向けてのキャッチフレーズにもなっている。「社会に必要とされなかったら、大学はいらない。IT・情報に携わらない仕事はなくなるような時代に、情報教育をどこまで学生に浸透させるか、知識と技術をどこまで社会に還元するか。それが一番の肝と考えています」。「新たな実学」の象徴が、2018年度に設立したICT社会教育センターだ。大学の本気を示す学内外へのメッセージとして、学長自らがセンター長を務める。活動のメインは、初等中等教育におけるICT教育支援。自治体と提携して、小中学校教員向けに教材プログラム体験、模擬授業体験、情報教育のアドバイス等を行っている。この社会貢献活動は、大学の「持ち出し」にも見えるが、小中学校の現場から吸い上げる声は、情報教育教材の改善に貴重な資料となる。また、学内で「全学部で情報教育を進化させる」にも、大いに参考になると言う。現在、改革の具体的な目標として掲げるのが「学生をしっかり集めます。離学率を減らします。進路決定率は関西ナンバーワンを目指します」(大石学長)の3つだ。1つ目、「入口」である学生募集については、オープンキャンパスに関する教員の変化が大きいと大石学長は言う。教員全員が、しかも主体的に参加するようになったという変化だ。「その結果、オープンキャンパスの来訪者数は2014年から倍増しています」。2つ目の離学率について大石学長は、「縁があって入ってきた学生が途中でやめるということは、何か大学側入口、離学率、出口の3つの目標で改革推進大阪電気通信大学80周年に向け、強い組織で、学生を伸ばす大学を目指す大石利光 学長
元のページ
../index.html#42