カレッジマネジメント215号
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特集 高等教育の国際展開19昭和ボストンから帰国した学生達がTUJのプログラムを受けられるようにした。その成果も上がっていたのだが、大学間の移動に時間がかかり不便であった。今回TUJが移転し、校舎が隣接することでその課題も解決される。これまで昭和女子大学は「学生を外へ送り出すグローバル化」を進めてきたが、さらなるグローバル化のためには、海外の学生を惹きつける力が必要である。そのためには、外国の教員を海外から招きプログラムを確立するのが王道であろう。だがそれには時間もお金もかかってしまう。企業においてはM&Aによって「時間を買う」といわれるが、海外の大学と提携をすることによって、グローバル化を一気に加速させる。これが昭和女子大学の戦略である。今後は、英語力のブラッシュアップという目的だけでなく、国際化の多様な発展が可能になるであろう。教員同士が交流し、お互いの学生に向けて授業を行うことはもちろん、職員間でも交流することで、例えばファンドレイジングや広報等、アメリカの大学における進んだ取り組みを学んでいきたいとも考えている。また、昭和女子大学が実施する日本文化や古典芸能に関する講演を通じた交流等も期待できるであろう。そして何より、クラブ活動や学園祭など様々なスチューデントアクティビティを通じた学生同士の交流の場となることで、生きたダイバーシティの在りダブルディグリー制度導入、教職員の交流により、ダイバーシティの実現を目指す方を実感してほしいと思っている。TUJの学生はアメリカ人が4割、アジアからの留学生や日本人の帰国子女等60カ国から成る。様々な国や地域の学生が集うことで、キャンパス全体がダイバーシティの場となるであろう。「スーパーグローバルキャンパス」は、9月からの授業開始に向け多岐にわたる検討事項に急ピッチで対応している。しかし、グローバル化への取り組みは、ここからさらに加速させていきたいと考えている。まずは、ダブルディグリー制度の導入である。学生は、昭和女子大学3年、テンプル大学2年の計5年間で、両方の学位取得を目指し学ぶ。そのためには、テンプル大学の学生にとっても、昭和女子大学が魅力的であることが不可欠である。そういった双方にメリットとなることを実現するための体制づくりも進めている。また、これまで多くの留学生を送り出してきた経験を生かし、学生がハードなアメリカの大学の授業についていけるような教員のサポート体制も構築した。学生・教員間の「顔が見える距離」が生み出す信頼関係は、これまでも就職実績やキャリア支援の場面で高い成果を果たしてきたものであり、昭和女子大学にとっての大きな「含み資産」として捉えている。社会参加における男女格差は、日本には厳然と存在する。その中で女性らしく生きる道を教えるという役割も女子大学にあるだろう。しかし、グローバル化やダイバーシティが急速に進む今、女性をそこから隔離するわけにはいかない。私は、このキャンパスで育った卒業生達には、日本社会に存在する同質性志向や内向き志向を変える起爆剤として活躍することを望んでいる。日本とアメリカの大学がキャンパスを共有するという世界に前例のないチャレンジングな取り組みが、ここ日本において実現できたということは、世界に向けてもよい刺激となるであろう。今後もさらに先進的な姿を発信し続けられる存在でありたいと考えている。前例のないチャレンジで、日本社会の同質性や内向き志向を変える起爆剤にリクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 2019昭和女子大学のある東京都世田谷区太子堂に開設されるスーパーグローバルキャンパス。敷地面積は約 7,600 平方メートル。テンプル大学は8月半ばに現在の東京港区にあるキャンパスから全学部が移転し、9月から授業を開始する。スポーツ施設やカフェテリア、講堂などは、昭和女子大学の既存施設を利用する。昭和女子大学の学生、昭和女子大学付属の初等中等高等学校の生徒、イギリスの義務教育課程の学校「ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和」の生徒と、テンプル大学の学生計9000人が、世田谷区のスーパーグローバルキャンパスで学ぶ。

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