カレッジマネジメント215号
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29特集 高等教育の国際展開西外大は『言語+教養』を学ぶリベラルアーツの大学だと自負しています」。谷本学長はそう胸を張る。かつてKansai University of Foreign Studiesと名乗った英語名称をKansai Gaidai Universityに変更したところにも、単科の外国語大学からリベラルアーツ大学への「進化」が表現されていると言っていい。それでは、関西外大では実際にどんな教育が展開されているのか。関西外大には現在、英語キャリア学部、外国語学部、英語国際学部の3学部に加え、大学院外国語学研究科、短期大学部、留学生別科が置かれ、約1万3000人の学生(大学だけで約1万1000人)が学んでいる。3つの学部に共通するのは、いずれも「言語」と「リベラルアーツ」を組み合わせて学ぶ構造になっていることだ。外国語大学である以上、まず外国語の学習が中心に位置づくのは言うまでもないが、現代はそれだけでは十分でない。外国語学習を通してコミュニケーションの障壁を下げることができたら、次は他国の文化、歴史、宗教、政治、経済等について学ぶ。そうすることで、物事を推し進める「ファシリテーション力」、問題を解決する「ネゴシエーション力」、人との対話を生み出す「コミュニケーション力」を身につけていくことができると谷本学長は語る。カリキュラムでは1・2年次に言語を集中的に学ぶ傍ら、1年次から上位学年にかけて緩やかにリベラルアーツが学べるよう工夫しているという。そんな基本構造を共有しつつ、各学部ではそれぞれに特徴的な教育が提供されている。まずは、2011年に設置された英語キャリア学部だ。120名定員(英語キャリア学科)の少数精鋭体制がとられ、英語と社会科学がフュージョンした「英語キャリア学」で国際的に通用する高度国際職業人の育成を目標とする。「英語プロフェッショナル」「グローバル・ビジネス」「国際教養」の学習分野が設定され、目指すのは経済学・政治学・法学等の社会科学に基づく客観的な考え方と英語力を併せ持ち、判断力や交渉力を発揮できる人材の育成だ。同学部では3年次に原則全員が英語で専門分野を学ぶ「専門留学」を行うが、それに向けて1・2年次には米国ノーステキサス大学の教員を招聘して行うSuper IES プログラムが準備されている。2017年4月に刷新された英語教育プログラムだ。この「関西外大&ノーステキサス大学IESプログラム」を通して徹底的に英語運用能力を身につけ、さらに内容重視アプローチ(Content-based approach)によって留学後に履修する分野の知識も獲得することができるつくりになっている(図表1)。英語でビジネスやリベラルアーツを学べる学生に育てるため、入試においても工夫がなされている。2018年度からS方式と呼ぶ、「外国語」と「英語の資格・検定試験」(加点方式、最大20点)を組み合せた新たな入試が導入された。「外国語」試験では社会科学的思考を問う問題が英語で出され、論理的思考力がないと英語力だけでは解けない試験にしているそうだ。そんな難関試験をくぐり抜けた学生の歩リクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 20191年次2年次3年次4年次卒業研究複合研究専門研究科目国際・国内ビジネスパーソン教員(英語・日本語)サービス・ホスピタリティ関連企業(航空・旅行・ホテルなど)国際・国内公務員次世代のグローバルリーダー目標とするキャリアイメージ国内外大学院Super IES プログラム【関西外大&ノーステキサス大学IESプログラム】Content-based Approachで、英語力を鍛え上げる関西外大流グローバル人材育成プログラム高度なコミュニケーション力、幅広い教養、国際理解力、多文化共生力などの一層の向上を目指す語学力と専門分野の基礎知識の修得専門知識を深化・発展させる英語プロフェッショナル国際社会で英語を自在に使いこなすための基礎力と応用力を身につけるグローバル・ビジネスビジネスの分野でグローバルに活躍するために必要な、経済や経営などの基礎知識を修得する国際教養多種多様な文化が共存する社会における様々な価値観を学び、国際感覚を身につける1年間の専門留学(原則全員が対象)※留学には資格審査において所定の基準を満たす必要があります英語キャリア基礎力“言語+リベラルアーツ”で徹底的に学生を鍛える図表1 英語キャリア学部における4年間の学び

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