カレッジマネジメント215号
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41リクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 2019①地域ニーズに合った学びの領域を創ること、②地域で積み上げてきた本学の強みの再認識、という二つの視点を入れました。実は岐阜歯科大学を創立した頃に医学部設置の構想があり、地域の外科病院として評価の高かった村上外科病院を附属病院としてご寄付頂いた経緯があります。国の方針転換で実現はしませんでしたが、本学の持つ強みである、約400床の総合病院を軸とした学びの新領域を作ろうと考えました。学生にとっても、遠方の病院での臨地実習は往復の交通費や宿泊費等の負担が大きく、岐阜駅前に実習施設があることは大きなメリットです。さらに私が副病院長を経験してきたことから、単に学生を頼むのではなく、患者さんとのやりとり、地域の病院や診療所との連携、老健施設や訪問看護ステーションなど地域医療とのネットワークといった、今まで積み上げてきた財産を、教育として授けることが可能となりました。さらに、地元のニーズに応え、アスリートの支援にも力を入れています。「ぎふ清流国体(2012年)」の開催が決まった2002年、県内の高校が強いフェンシングや自転車競技等の選手が県外へ流出しないように、朝日大学で受け皿を作ってほしいと県から要請を受けました。本学には指導者がいなかったため、①指導者の人事権、②専用設備、③活動費、④奨学金を法人が担う「体育会」を発足させ、高校教員に体育会の指導者になって頂き、高校・大学と一貫で指導してもらう、高大連携の形を提案しました。高校の先生からも「良い選手に育てても、県外に出すと競技力が思ったほど伸びず残念に思っていた。手元で7年間育てられるなら」とご賛同頂けました。地域のニーズに応え、地域の方にわれわれの仲間に入ってもらって、大学の新たな柱の一つを作れたことで、これまでの教員採用とは違った、新しいサイクルを生み出すことが出来たように思います。この体育会を基盤にして、2017年には、健康スポーツ科学科を増設しました。今後もさらに地域のスポーツ振興に貢献していきます。公認会計士合格を目指す「会計研究部」岐阜県には、商業教育において、全国的に評価の高い岐阜県立岐阜商業高校があります。生徒の約75%が進学し、多くの生徒が高校在学中に日商簿記2級~1級を取るほど優秀です。彼らは税理士や公認会計士を目指して県外の大学へと進学し、本学はいわゆる選ばれない大学でした。選ばれる大学になるためには何が必要か。私は中央大学を見学させて頂き、学内ダブルスクールで現役公認会計士が高度な会計教育をしていることを知りました。そこで、この会計士の先生方にご協力を頂き、先ほどの体育会の中に「会計研究部」を作りました。2011年には、岐阜県高等学校商業校長会と連携協定を結び、高校と大学の7年間でシームレスな会計教育を実現しました。具体的には、金・土曜日の対面授業と、日~木曜日のオンライン授業を組み合わせ、個々の学修速度に合った教育を展開。学内に個別の学習スペースを確保し、部活ですから主将もいて、朝練も行っています。教育成果の見える化により、県内進学者が増加これらの取り組みで、現在4学部5学科の全学部で募集定員を充足するまでに回復しました。体育会出身のアスリートがロンドン五輪や先のアジア大会でも活躍しました。会計研究部は今年で7年目を迎え、これまで33名が公認会計士試験に合格、うち在学中の合格者も26名になりました。人文社会学系の教育を見える化したことで、県内からの評価が高まり、県内進学者が増加しました。関東や関西に行かなくても、自宅から通えて公認会計士に合格できる大学と、保護者の方にわかりやすく伝わっています。灯台下暗しとはこのことで、商業に強い岐阜県という地域ブランドを県外に発信する効果にもつながっています。今後も地域の大学として、人財の流出を堰き止める、地域のダム機能を果たしていきたいと考えています。古き良き学問体系の良い部分は残しつつ、ステークホルダーである学生、保護者、社会のニーズに耳を傾け、変えていくべきものは変える必要があります。2021年に創立50周年を迎えますが、教職員と共に変革と挑戦を繰り返していくことで、50周年の先を創造していけるものと信じております。

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