カレッジマネジメント215号
43/62

43リクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 2019があります」と日下部部長は話す。専門性が高くなっていくに従って、ポテンシャルとして持っていた目的意識の差が出てくるというのは興味深い。AOは第一志望比率が高く、必然的に大学教育へのモチベーションが高い。結果として各学科の牽引人材となるケースも少なくないという。AOは学内の活性化にも貢献しているのである。AO募集人員は学科により異なるが、全学で見ると定員の10%を占める(図表参照)。また、千葉工大には専門高校出身者も12%ほど存在する。2つの属性は「学力以外の要素評価」「目的意識が高い」という点で似ている。「知識重視ではない層が全体の22%存在することは本学の研究開発にも寄与します。多様性はイノベーションを産むからです」と日下部部長は言う。こうした選抜で入学してくる学生について、学科教育で必要な基礎学力はどう補うのか。「もちろん、数Ⅲや数Cを履修していなければ厳しいという学科もありますが、そうした学科は基礎学力重視の入学者選抜の手厚い入学前教育と仲間作り部長は言う。入学前に2日間かけて行われる「ウォーミングアップセミナー」はさらに手厚い。初日はチームに分かれ、企業研修等でも使われる「プロジェクトアドベンチャー」にて様々な課題解決に挑戦する。2日目は講義とキャンパスツアー等で、大学への理解を深める。セミナーを実施する目的は「同じ志を持った仲間を見つける」ことだそうだ。「その意識を持って学科横断的に人脈を持つことでモチベーション維持にもつながる。AOは一般に比べて入学までの時間があるからこそ、コミュニティー作りには配慮しています」と日下部部長は言う。順調に見えるAO創造入試だが、大学教育を通じた付加価値の付け方は今後の課題の1つだという。現在、大学院に進学する研究者志望層には一般選抜の学生比率が高く、AO学生が相対的に少ないのがその背景にある。「本学の場合、基礎学力重視の入試形態で入学した学生の研究志向が高い傾向がある。AOはものづくり等手を動かすことを好む比率が高いため当然の結果とも言えますが、もともとの志向が卒業進路まで一貫して変化しないのは大学教育が変化を促せていないとも言える。多様性を進める中で進路の軌道修正を柔軟に行えるようにしなければいけない」と日下部部長。ポテンシャルを開花させた先にある多様な進路発掘へ。今後の動向にも注目したい。(本誌 鹿島 梓)トライ&エラーを繰り返して選抜の意義を磨く定員を多く配置します。選抜したい人材の異なる多様な方式を設け、定員配置等で学部学科のアドミッションポリシーに合う人材を選抜できれば、それが最善と考えています」と日下部部長は話す。なお、入学前のフォローアップとして、大学全体で実施する「科目別リメディアル教育」とAO特有の「ウォーミングアップセミナー」を用意している。前者は英語・数学・物理・化学について習熟度別にクラスを分け、eラーニングで知識補てんを行うもの。中間や期末テストもあるという。「リメディアルとしても機能しますが、それ以上に、大学ではここまでやらないとダメだという意識づけに一役買っています」。基礎学力以外を評価する入試形態でも、入学後に数学や物理が必要になるのは変わりない。AOは青田買いではなく、一般・センター試験で評価できない観点にスポットを当てた入試なのであり、また、学科教育のカレッジ・レディネスは1つではない。「学力もやる気も志向性も全て1つの入試で求めるのではなく、それぞれにスポットを当てた入学者選抜方式の多様性こそが肝要」と日下部図表 学部学科ごとの募集人員とAO比率学部学科入学定員AO募集人員AO比率工学部機械工学科140139.3%機械電子創成工学科110109.1%先端材料工学科110109.1%電気電子工学科140139.3%情報通信システム工学科110109.1%応用化学科110109.1%創造工学部建築学科140139.3%都市環境工学科110109.1%デザイン科学科120119.2%先進工学部未来ロボティクス学科120119.2%生命科学科110109.1%知能メディア工学科110109.1%情報科学部情報工学科140107.1%情報ネットワーク学科140139.3%社会システム科学部経営情報科学科1101715.5%プロジェクトマネジメント学科1102119.1%金融・経営リスク科学科60711.7%合計199019910.0%※本連載は本号で誌面掲載を終了し、以降は不定期更新の企画としてWEBにて展開いたします。

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る