カレッジマネジメント215号
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45に主眼がおかれ、優秀な頭脳流出問題への対応と留学生受け入れを含めた優秀な人材の確保が企図されてきた。マレーシアの教育改革は、1970年から5年ごとに提示される「マレーシア五カ年計画」の中でその方針が示されてきたが、特に今日の高等教育については、2007年に当時の高等教育省が定めた「国家高等教育戦略計画」(National Higher Education Strategic Plan : NHESP)によるところが大きい。そこでは、マレーシアを高等教育における国際的な「教育ハブ」にするという目標が設定され、知識基盤社会をにらんでの高度人材育成と人材獲得という側面がより強く打ち出された。そして、この「国家高等教育戦略計画」の後継として2015年7月にナジブ首相(当時)が発表したのが「マレーシア高等教育計画ブループリント(2015-2025)」(Malaysia Education Blueprint 2015-2025(Higher Education): MEBHE、以下、「高等教育計画」)である。本計画では、2007年の時とは異なり、既に世界の留学生移動の一拠点となったマレーシアにとって、研究開発やイノベーティブな教育の重要性が強調されている。そこでは、留学生数の量的な拡大と交流の活発化を中心に考えられてきた高等教育の国際化に加え、社会の目まぐるしい変化を受けとめ、求めるべき価値観や能力の問い直しと、革新的な科学技術や新たな知の創造を担うことができる人材育成及び確保という観点が重視されている。その概観を図2に示した。この「高等教育計画」について、マレーシアの高等教育関係者は、「マレーシア高等教育計画ブループリント(2015-2025)」による現行の教育改革 具体的成果と目標を数値化した2007年の「戦略計画」と比べ、「国家教育指針」(National Education Philosophy:NEP)に基づき高等教育の意義と特徴を再確認し、NEPで謳われた「マレーシア人としてのアイデンティティーを持ったグローバル・シティズンの育成」という教育理念を重視している点が特徴的であるとしている※1。また、ガバナンス、効率性、財政、キャリアやリーダーシップの醸成の各観点について参考指針が示されている。なかでもラーニング・アウトカムに重点を置き、マレーシア認証資格委員会(Malaysia Qualications Agency : MQA)による質保証枠組みを重視することで、公立・私立教育基準の統一が図れるとしている点は特徴的である。特に私立機関については、国の質保証枠組みへの準拠を求め、財政支援の割合は質保証の達成状況で決められることとなった。こうした動きは、国際社会において議論されている情報テクノロジーやコンピューリクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 2019出所:「高等教育計画」14ページ(筆者訳)図2 「マレーシア高等教育計画ブループリント(2015-2025)」の重点課題知情意のバランスと起業家精神に富んだ人材の輩出有能な人材の確保生涯学習質の高い技術職業教育訓練持続可能な財政システム高等学習機関のガバナンスイノベーション・エコシステムグローバル化の更なる推進オンライン学習のグローバル化国立・私立協働の高等教育制度学びを重視した人材育成改革の要件アウトカム
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