カレッジマネジメント215号
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55ている。総人口に占める65歳以上人口の割合は2010年の23.0%から2015年は26.6%に上昇しているが、秋田33.8%、高知32.8%、島根32.5%をはじめ13県が30.0%以上となっている。次に、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2018年推計)」によると、総人口は2015年1億2709万5000人から2045年1億642万1000人に減少。42道府県で2015年以降、全ての都道府県で2030年以降一貫して減少するとの結果が示されている。2015年を100としたときの指数で見ると、全国83.7に対して、秋田58.8、青森61.0、山形68.4、高知68.4、福島68.7、岩手69.1となっており、地域ブロック別には東北(69.0)、四国(73.4)、北海道(74.4)、北関東(77.9)等の減少が大きい。年齢別人口を見ると、15-64歳の割合が全国で2015年60.8%から2045年52.5%に減少。秋田(42.5%)、青森(45.0%)、福島(46.6%)、山梨(47.2%)、山形(47.4%)をはじめ22道県で50%を下回るとされている。次に、「平成27年度県民経済計算」で経済活動状況を確認しておきたい。県内総生産(名目)について、地域ブロック別シェアを見ると、2015年度は関東40.9%、中部15.6%、近畿15.2%、九州9.0%、東北7.8%、中国5.5%、北海道3.5%、四国2.6%となっており、2010年度からの推移を見ても大きな変動はない。一人当たり県民所得は、2015年度において、東京が537万8000円と突出して高く、次いで愛知が367万7000円、以下三重、栃木、富山、静岡、福井、群馬、大阪、茨城、広島、滋賀と続く。最も低いのは沖縄の216万6000円であり、以下下位から鳥取、宮崎、鹿児島、長崎、佐賀、熊本、青森と続く。沖縄は東京の約4割にとどまり、下位の県が九州に集中している。県民所得は、県民雇用者報酬、財産所得、企業所得の合計であるため、産業集積地が高くなる傾向にある。そこで、一人当たり県民雇用者報酬を確認すると、東京一人当たり県民所得の下位の県は九州に集中が555万9000円、以下神奈川、福井、大阪、愛知、広島、奈良、千葉、兵庫、長野、石川と続く。最も低いのは秋田の355万2000円で、以下下位から鹿児島、宮崎、沖縄、島根、青森、鳥取、山形、佐賀、岩手と続く。秋田は東京の約6割にとどまる。なお、比較可能な2006年以降のデータで、一人当たり県民所得の推移を見ると、最下位沖縄に対して東京は2006年の2.91倍から2015年には2.48倍へ、一人当たり県民雇用者報酬においては、最下位秋田に対して東京は1.69倍から1.56倍へ、それぞれ開きが縮小している。この間、東京の県民所得総額が3.6%減少している一方で、沖縄は11.0%増加している。県民雇用者報酬については、東京の人口増が報酬総額増を上回っているのに対して、秋田では報酬総額の減少を上回るペースで人口減が進んでいることがその背景にある。ここまで、人口と経済活動の両面で都道府県別の状況を見てきたが、同じ県内でも県庁所在地等人口が集中する都市と過疎化が進む市町村の二極化が生じる等、「地域」をどう捉えるかによって、対処すべき問題も異なってくる。また、一人勝ちと言われる東京都も、高い増加率で高齢化が進むとされており、絶対数が大きいだけに状況は深刻である。このような状況も踏まえながら、大学と地域の関係について考えてみたい。大学の基本的な役割は、教育、研究、社会貢献とされている。中央教育審議会『高等教育の将来像(答申)』(2005年1月28日)は、大学の機能別分化を促すにあたり、世界的研究・教育拠点、高度専門職業人養成、幅広い職業人養成、総合的教養教育、特定の専門的分野(芸術、体育等)の教育・研究、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能の7つを挙げているが、地域貢献は産学官連携、国際交流とともに社会貢献機能の一つに位置づけられている。他方で、「教育・研究を通した社会貢献」という考え方に立つ大学関係者も多い。丹保(2011)は、札幌農学校は、モリル法によって実学「第三の目的としての社会貢献」と「教育研究を通した社会貢献」リクルート カレッジマネジメント215 / Mar. - Apr. 2019

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