カレッジマネジメント216号
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14リクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019人間・心理・教育・福祉系統(図表2-9)系統内で最大のマーケットである教育学は2012年以降成熟期に入り、緩やかに市場を拡大している。心理学も1992年から概ね成長期と言える拡大を見せており、近年は定員の増加に対してやや大きな志願者増加が続いている。一方で2012年まで長きにわたる成長期にあった保育・児童学は2012年以降、人間科学は2008年以降、それぞれ撤退期に入っている。長らく市場縮小が続く福祉学は2016年より志願者数がやや持ち直し、再成長予兆期に入っている。地球・環境・エネルギー系統(図表2-10)マーケット規模はあまり大きくないが、近年動きが大きいのは環境科学。1996年以降長く成長の一途であったが2012年を機に撤退期に入り2016年以降成熟期に転じた。地球・宇宙学、エネルギー・資源工学、原子力工学はいずれも2016年から成長期に入り、緩やかに市場を拡大しつつある。国際・語学系統(図表2-11)2012年以降マーケット伸長している国際関係学は再成長予兆期だが、定員は大きく増えずに志願者が増加している状態。語学(外国語)も同様の状態である。国際文化学はきれいなライフサイクルを描いており、2016年から再成長予兆期に入っている。語学(日本語)は分野全体から見ると小さなマーケットではあるが、2012年から成長期に入っている。スポーツ・健康・医療系統(図表2-12、2-12a)好調なのは、医学(専門課程)、看護学である。医学(専門課程)は成熟期に入ったが、看護学は20年以上成長期にある。薬学は2004年まで成長期、衰退期を経て再成長予兆期にあったが、2016年から再び衰退期に入った。健康促進や予防医療の文脈で学際化が増えているスポーツ学は、単独で見ても2008年以降成長期にあったが、現在は成熟期だ。健康科学は長らく成長期にあったが2008年以降はやや鈍化。歯学(専門課程)は2012年以降志願者が増加し、2016年以降やや減少。比較的好調な系統が多い中、相対的に不調と言えるのは、2004年以降衰退・撤退期を行き来している保健衛生学、同じく衰退期にあるリハビリテーション学である。工学・建築・技術系統(図表2-13、2-13a、2-13b、2-13c、2-13d)1992年時点が最大の志願者数で減少トレンドという系統が多い中、好調なのは情報工学である。2016年以降成長期に入り、志願者も2016年4.3万人→2018年6.4万人と2万人増加している。建築学も2016年以降成長期に入っている。このようにライフサイクル図を見ると、系統・分野のトレンドは社会情勢を反映したものであることが分かる。では近年のトレンド全体像はどうなっているのか。まずは単独分野について見てみたい。直近の4年間(2015‐2018年)で志願者数の増減が大きい学科系統分野を図表3に示した。比較対象として2008‐2012年の内容を左側に置いた。左列は2008年にリーマンショック、2011年に東日本大震災もあり、景況が悪化し、大卒求人倍率が低迷した時期である。そのため、高校生の進路選択が保守的になり、資格取得が仕事に直結する学問分野が志願者を集めた。右列は、2012年安倍政権発足以降のアベノミクスによる景気回復により就職状況が改善した社会科学系、Society5.0で注目を集める電気電子や情報、ロボティクスといった分野、東京五輪需要に沸く建築土木関係等に関係する学部・学科に人気が集まり、トレンドの入れ替わりが起きている。減少においても同様に変化が見られる。2015-2018の志願者減少上位は薬学、栄養・食物学、保育・児童学、リハビリテーション学といった資格取得を軸にした分野のほか、機械工学、化学、農学といった分野であるが、いずれも他分野と融合し、新たに複合分野として発展を見せているものが多い。現実的に学際化が難しい国家資格系の学問分野を除き、単独分野だけでは志願者等の観点から厳しくなっている分野をどのように組み合わせて改組するかという点も注目される。単独分野の志願者数の動向(2008‐2012、2015‐2018)
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