カレッジマネジメント216号
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野村総合研究所の調査研究によると、自動運転・運転支援システムを搭載した車両の販売台数は2025年に5000万台に達するという(図1)。自動運転システムには世界共通のレベル定義があり、レベル2までは運転操作はドライバーで機械がアシストする運転支援、レベル3からが自動運転と定義されている(図2)。「自動運転はこれまでの自動車の概念を変える『CASE(コネクテッド、自動運転、シェアサービス、電動化)』という技術革新によって変革・推進が行われています。最近はGoogleの自動運転車等、異業界企業の参入も目立つようになり、トヨタ自動車とソフトバンクの提携や、運送や物流業界においてドライバー不足をテクノロジーで解消する取り組みが始まる等、MaaS(Mobility-as-a-Service:マース)と呼ばれる『クルマを使った新しいサービス』を始める企業も増えてきました。こうした動きは、CASEの技術進化とデバイスや通信等のコストダウンにより、自動車が単体ではなく、周辺とつながる乗り物となり、社会のシステムの一部になってきたことが背景にあります」(野村総合研究所・小林氏)このCASEやMaaS等の新たなビジネスモデルによって、自動車業界で求められる人材やスキルも変化する。「様々な国のメーカーや業界の事業者との交渉が増加することから、自動車業界では『クルマを製造して売る』から『クルマを使った新しいサービスやビジネスモデルを構築』できる柔軟な発想ができる人材が求められます。また、異業種からの新規技術についての理解を深め、常に既存の自動車技術に応用展開ができないかを見極めることが必要になるでしょう」(矢野経済研究所・池山氏)今年3月8日には自動運転の実用化に向けた法律の改正案も閣議決定された。2020年は「自動運転車元年」になりそうだ。(文・馬場美由紀)技術革新により、産業構造や働き方が劇的に変化することが予想されます。本連載では、領域×Technology=「×Tech(クロス・テック)」に着目し、産業の大きな変化の兆しを捉えていきます。小林敬幸氏 株式会社野村総合研究所 コーポレートイノベーションコンサルティング部 部長池山智也氏 株式会社矢野経済研究所 インダストリアルテクノロジーユニット 主任研究員 取材協力(単位:千台)14,38014,3802016年2020年2025年29,93053,9900808,49029,85045,500Level3以上のシステムLevel2以下のシステム自動運転・運転支援システムを搭載した車両の販売台数は2025年に5000万台に達する見通し。Level3以上の自動運転車両は、2020年以降に本格的に立ち上がる見通し。図1 自動運転車両の販売台数(World Wide)#01 Auto Service Tech(自動車とテクノロジー)2025年は5000万台が街を走る─自動運転でクルマが社会のインフラにレベル概要運転操作バックアップ運転自動化なし●(Lv.0)人が常時、全ての運転操作を行う運転者支援●(Lv.1)システムが前後もしくは左右のいずれかの運転操作を行うが、他の操作は人が行う部分的自動運転●(Lv.2)システムが前後左右の運転操作を行うが、安全確認や他の運転操作は人が行う条件付き自動運転●(Lv.3)特定の運転モードにおいてシステムが持続的な自動運転を行う(但し、システムからの操作切り替え要請に人が適切に応じる必要がある)高度自動運転●(Lv.4)特定の運転モードにおいてシステムが持続的な自動運転を行う(人の操作は不要)完全自動運転●(Lv.5)いかなる走行環境条件のもとでも、システムが常時自動運転を行う(人が不要)ドライバードライバー+システムドライバー+システム(限定的Hands-O可)システム(Hands-O可)ドライバーシステム図2 自動運転システムレベルの定義(SAEベース)(SAE:Society of Automotive Engineers 米国自動車技術会)で変わる産業出所)各種各種公開資料をもとにNRI作成
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