カレッジマネジメント216号
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21リクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019の新設認可も加わったが、その認可率の低さとともに、こちらも「制度創設初年度であるものの、総じて準備不足で法人として大学設置に取り組む体制が不十分」という指摘がなされており、厳格化ムードが一層強まっている。次に志願倍率である。大きく上昇した年は大規模大学の新増設に伴うもので、下降する年も個別の理由によるものであろうが、概ね5.0~8.0倍の幅で推移しており、高校生は新しい学部学科を好意的に見ているようである。では昨今人気のある分野について見ていこう。単独分野の新増設では、設置数トップ3が医療系で占められ、1位の看護学は設置数118と群を抜いている。毎倍)、8位数学×物理学(10.5倍)が挙げられる。いずれも技術革新の期待が大きいと思われる分野であり、まだまだ志願のニーズが高い状態にあると推察される。本原稿執筆中に、東京理科大学と第一生命の包括連携協定が発表された。社会ニーズの高いデータサイエンスと生命医科学分野での人材育成・研究を共同で行っていくという趣旨である。特定の職種について、社会ニーズからバックキャスト的に大学での人材育成を志向する場合、これまでは大学は既存の教育組織の工夫または該当領域を新増設して対応するのが常であった。しかし、2018年11月26日に中央教育審議会より出された「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申」においても、「大学の多様な強みを強化」し、社会ニーズに迅速に対応しつつ大学教育の質保証の観点からも「大学等の連携・統合」の必要性がうたわれている。社会に求められる全てを自前で対応するのではなく、共通目的を置いて協力していく動きが必要というわけである。新しい人材育成にあたり、学部・学科新増設で内包するのではなく、他大学や企業との連携によって行っていく流れが今後どの程度加速するのか。そうした流れが加速すれば、当然学部・学科の動きだけではトレンドをつかみづらくなってくる可能性もある。注目していきたい。年一定数が設置されているが、近年は2016年を除き毎年2桁の設置数となっている。2015‐2018年の平均志願倍率は7.2倍と未だ高い状態だ。2位の医療技術学は設置数75件、平均志願倍率は6.3倍。3位のリハビリテーション学は69件、6.0倍といずれも高めの水準。上位5位までは2015-2018年の志願倍率が2008‐2012年当時よりも高くなっており、順調に市場が形成されていると言えるだろう。なお、平均倍率が10.0倍を超える分野に注目すると、7位教育学(11.6倍)、11位社会学(11.9倍)、14位経済学(11.2倍)、同建築学(15.5倍)、17位機械工学(15.6倍)、18位生命科学(16.0倍)、20位総合政策学(10.5倍)が挙げられる。これらは市場規模に対し定員が大幅に不足している状態とも言え、今後設置数が伸びることが予想される。ただし、大規模大学が多く設置することで相対的に倍率が上昇するケースもある。複合分野の新増設は、1位教育学×保育・児童学(34件)、2位スポーツ学×健康科学(28件)、3位栄養・食物学×健康科学(23件)、4位は情報学×情報工学と機械工学×システム・制御工学が15件ずつで並んだ。上位13位までの組み合わせでは、教育学、健康科学、情報学、情報工学、電気工学、電子工学…と、トレンドの分野が多く並ぶ。平均倍率が10.0倍を超える人気分野は、4位情報学×情報工学(10.1倍)、6位電気工学×電子工学(10.1※1STEM教育:Science・Technology・Engineering・Mathematicsの頭文字をとった、科学・技術・工学・数学の教育分野の総称※2STEAM教育:STEM教育に芸術(Art)を加えて提唱された教育2017設置数2018設置数設置数合計2008-2012平均倍率2015-2018平均倍率24345.14.442287.37.12-233.95.121158.510.1-3154.76.9--133.33.2-1136.310.112129.610.5-2125.55.211114.48.72196.09.01-89.39.11-73.74.5-273.34.0--74.45.6-173.73.4-174.75.5-277.19.9特集 学部・学科トレンド 2019複合分野の新増設トレンド(2008‐2018) 図表10単独分野の新増設トレンド(2008‐2018) 図表9
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