カレッジマネジメント216号
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222018年に創立90周年を迎えた横浜市立大学は、2018年4月に首都圏で初、全国2番目となるデータサイエンス学部を新設し、さらには2019年4月には、国際総合科学部を国際教養学部、国際商学部、理学部へと改組し、従来からの医学部を併せて5学部体制になった。なぜ今、立て続けに学部新設や改組に取り組んだのか。それを知るには、2005年の公立大学法人になった際の改革に遡らねばならない。法人化を契機に、商学部、国際文化学部、理学部を統合して国際総合科学部とし、文理融合を目指した教育・研究を開始した。それから10年前後を経た第2期中期計画(2011~2016)の終盤、第3期中期計画を考える頃から徐々に見直しの機運が生じてきた。窪田吉信学長は、「文理融合を掲げて約10年やってきて、一定の成果を上げました。しかしながら、逆に弱点と言えるようなところも見えてきました。その1つは、大学の外から、国際総合科学部が何であるかよく見えないという声を聞くようになったことです。特に受験生からそういう反応があったのです。また、学生の就職活動時においても、何を学んだのかと聞かれることが多くありました。もう1つは、教員の異分野交流は大変進んだものの、他方でそれぞれの専門分野での研究力がやや鈍化しました。これらを克服し、時代に適応するためには、外から見えやすくするとともに、専門性を深化させることが必要と考えた次第です」と、改組の理由を説明する。改組までには3年ほどかけて議論を重ね、2019年4月から新体制が発足した。それよりも1年前に設立されたデータサイエンス学部は、時代を象徴している。今やビッグ・データの解析は必須となり、データサイエンティストに対する需要は沸騰している。これからの時代を考えると、データサイエンス学部の設置は不可欠と判断した。工学部を持たないがために、学内で教員を揃えることはできない。そこで統計学や数学を専門とする学内の教員を中心にして構想を固め、あとは外部から適任者を集めることで、学部の骨格を考えた。一日でも早く設置したいと計画を進める大学のスピードに、最初、大学の設置母体である横浜市は驚嘆していたという。興味深いのは、データサイエンス学部の想定される卒業後の進路として掲載されている職業リストの最後に、「今はまだ存在していない職業」という項目があることだ。何が起きるか不確実な将来に向けて、果敢にチャレンジしようという姿を見ることができる。学部の新設と学部の改組がほぼ並行したここ2〜3年、学内はさぞかし大変だったことだろう。学部新設・改組の受験生への影響について、志願者の推移から見てみよう(図表1)。データサイエンス学部は、2018年度は初年度効果で志願者が多いが、2019年度も募集定員に対して4倍の志願者があり、人気学部であることが分かる。改組した理学部、国際教養学部は志願者の増加が認められる。多くの大学が志願者を減らしているなか、まずまずの出だしであろう。よくリクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019データサイエンス学部新設、国際総合科学部改組で5学部体制へ窪田吉信 学長データサイエンス学部岩崎 学 学部長中條祐介 副学長ポイントは外からの見えやすさと、専門性の深化横浜市立大学1C A S E
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