カレッジマネジメント216号
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23見えるようになるのは、卒業生が出始める頃からであり、そこからが勝負である。ところで、国際総合科学部から3学部への改組は、2005年以前への回帰ではないかと思われるかもしれない。確かに、学部の名称だけみれば、そう言えなくもない(図表2)。しかし、法人化とともに進めてきたいくつかの改革をみれば、単なる回帰ではなく、前進であると納得することができる。法人化に際して行ったのが教養教育の改革である。その中でも「共通教養」と命名されている教育は、「自ら主体的に課題を発見して解決する力」の涵養を目標に掲げている。それは、専門の基礎的な知識を学ぶものでも、専門以外の領域を幅広く学ぶものでもないという認識の上に構築した。高校までの正解に到達する教育と比較すれば、大学での教育は、自ら問いを立ててその問いに自ら答えを探していくことである。鉄は熱いうちに打て、の例えの通り、大学へ入学したての学生にその違いを教え、課題発見・解決能力を鍛えようというのが教養教育改革の主旨であった。その新たな教養教育である共通教養は、具体的には「問題提起」「技法の修得」「専門との連携」の3つの科目群からなる(図表3)。「問題提起」科目群ではテーマ別科目や教室外で実践する科目を中心とし、それらを通じて、問題を見つけるとはどういうことか、自分にとって問題とは何かを考えることを学ぶ。「技法の修得」科目群は、問題を解くための方法論を身につけるための科目であり、Practical English、ICT、少人数の教養ゼミ等から構成されている。「専門との連携」科目群は、専門を始めるにあたって必須の科目、課題探究科目という、学問とはどのように課題解決に関係するのかを学ぶ科目、リメディアル講座という、専門に進むにあたって必要だが、高校で履修していない者のために単位が付与されない科目が用意されているところが興味深い。この教養教育の重要な点は、所属の学部に拘わらず全学生が一緒に学ぶことにある。専門教育が始まると4つのキャンパスに分かれるため、他学部の学生との交流は自ずと限定される。そのため、1年次の教養教育では、金沢八景キャンパスで全学生が一緒に学ぶという環境を提供し、多様な考えを持つ学生と触れ合うことで視野を広げ、課題発見・リクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019国際総合科学部データサイエンス学部(60)医学部国際教養学系(140)国際都市学系(120)経営科学系(250)理学系(140)医学科(90)看護学科(100)募集人員2014年度7546091,169600─3772022015年度760431952477─3242372016年度597583765475─3561992017年度7895541,016457─3321902018年度6635691,114359426310221国際教養学部(270)国際商学部(260)理学部(120)データサイエンス学部(60)医学部医学科(90)看護学科(100)募集人員2019年度1,360971467249372195図表1 志願者数推移【2014年度~2019年度】●国際教養学系・人間科学コース・社会関係論コース・国際文化コース●国際都市学系・まちづくりコース・地域政策コース・グローバル協力コース●経営科学系・経営学コース・会計学コース・経済学コース●理学系・物質科学コース・生命環境コース・生命医科学コース●国際教養学科学士(学術)・教養学系・都市学系国際教養学部●都市社会文化専攻都市社会文化研究科●データサイエンス学科学士(データサイエンス)データサイエンス学部●医学科学士(医学)●看護学科学士(看護学)医学部●国際マネジメント専攻国際マネジメント研究科●医科学専攻●看護学専攻医学研究科●物質システム科学専攻●生命環境システム科学専攻生命ナノシステム科学研究科●生命医科学専攻生命医科学研究科●国際商学科学士(経営学)学士(経済学)国際商学部●理学科学士(理学)理学部■学部構成(2018年)■大学院■新学部構成(2019年〜)図表2 学部新設・改組の図国際総合科学部4キャンパスの学部が一緒に学ぶ「共通教養」特集 学部・学科トレンド 2019

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